原 宏一 『極楽カンパニー』2012/05/08



定年退職した男性はどういう風に暮らしているのでしょうか。
せっかく退職したのだから、好きなことをやればいいと思うのですが、やることがなくて、奥さんの跡をついて回って嫌がられたり、図書館に入り浸ったり、ベンチにボーと一日中座っていたり・・・。
そんな風になる人が結構いっぱいいるということです。
夫を見ても、たぶん退職したら急に何をしたらいいのかわからず、困るだろうなと思います。
退職しても困らないように、少しずつ趣味を持ち、休日の暮らし方を考えるようにしていければいいのですが、残念ながら日本の企業はそういう体力的、金銭的、時間的余裕を与えてくれません。

そういう定年した男性を描いたのが、この本です。

定年後、図書館通いをしていた須河内賢三は、同じように暇をもてあまして図書館通いをしていた桐峰と意気投合し、「会社ごっこ」をすることになります。
駅前の暇な喫茶店を借り、オフィスにし、フェイク会社を作ったのです。
毎朝、このフェイク会社に通い、同僚も募ることにしますが、なんと思った以上の大盛況。
この「会社ごっこ」は全国に広がっていきます。

ところが、この「会社ごっこ」から新しいビジネスを展開しようと思う輩が現れ、「会社ごっこ」は思いがけず、暗礁に乗り上げることになってしまいます。

嬉々としてフェイク会社に通うオヤジたちに、なんか哀れを感じます。
会社に飼いならされずに、自分の好きなことやろうよ。
退職してから死ぬまでに、そんなに時間がないですよ。
ガンバレ、オヤジとエールを送りたくなりました。