北森鴻&浅野理沙子 『邪馬台―蓮杖那智フィールドファイルⅣ』2012/05/11



2010年に亡くなった北森鴻の最後の小説です。
浅野理沙子と小さくあるのは、北森がこの本を完成できなかったので、パートナーである浅野が北森の意志をついで書き上げたからです。

内藤三國が廃村の民俗学をテーマにしようと思っていた頃、蓮杖那智は邪馬台国を研究テーマにしました。邪馬台国は「手垢のつきすぎた研究テーマ」で、今度こそ蓮杖は学会から追放されてしまうのではと怖れる内藤でした。

そんな時に、雅蘭堂の越名集治が蓮杖のところに「阿久仁村遺聞」を送ってきました。
阿久仁村は鳥取県と島根県の県境にあった村で、明治の初め、鳥取県が島根県に合併された五年後に鳥取県が最置された時に消えてしまった村なのです。
興味を持った那智たちは「阿久仁村遺聞」を読み解いていきますが、冬狐堂も巻き込んだ過去の忌まわしい事件が蘇ってきます。

懐かしい人たちが出てきます。香菜里屋のマスターのその後も書いてあります。
邪馬台国は本当にあったのか、スケールの大きい謎ですね。
殺人が起こり、それから・・・と思っていたら、あっけなく謎解きは終わってしまいます。
ミステリーというよりも民俗学のおもしろさを知るにはいい本です。