小川洋子 『ブラフマンの埋葬』&『ミーナの行進』2012/05/25

猫を抱いて象と泳ぐ』を読んで、何か日本ではない、どこか西洋の町のおとぎ話のような話という印象を持ちました。今回読んだ本のそういう傾向のものです。『博士の愛した数式』のような話の方が私は好きです。


アーチストたちの隠れ家的な家の管理人をしている僕は、森で傷ついた動物を見つけ連れ帰り、自室で飼い始めました。その動物はブラフマンと名付けられました。
ブラフマンとの生活は孤独な僕にとってはかけがいのないものとなりました。しかし、その生活にも終わりが・・・。

ブラフマンは犬のような野生の動物です。一体何かしらと思いながら読み進みましたが、最後までわかりませんでした。
内容は他愛がないのですが、文の美しさを味わうために読む本のようです。
私は犬が無性に飼いたくなりました。


岡山に住んでいた朋子は、父が亡くなり、母が東京の専門学校で一年間勉強するということになったため、芦屋の伯母さんの家にお世話になることになります。
伯母さんは飲料水会社の跡取り息子と結婚していました。
家は古い大きな洋館で、そこには伯母さんの他にハンサムな旦那さんの母親のドイツ人と伯母さんの一人娘の美しくてかよわいミーナ、お手伝いさんだけど家族のような米田さん、そしてカバのポチ子が住んでいました。
期限の決まった生活ですが、朋子にとってこの家での一年は忘れられないものとなります。
ブラフマンの埋葬のように最後にミーナが死んでしまうのかと思ったのですが、そんなこともなく、淡々と時は過ぎゆき、物語は終わります。

ストーリーを読むことが好きな人には、私のように物足りなく感じられるかもしれませんが、一人の少女の一時を一緒に体験していくという感じで読むといいでしょう。
小川洋子の独特の世界を垣間見てください。