三上延 『ビブリア古書堂の事件手帖 3』2012/07/01



楽しみにしていたビブリア古書堂シリーズが、私の知らない間に出版されていました。引越をしてから、ご近所にある書店の使い勝手があまりよくなく、気付かなかったのです。

2巻目から気にかかっていた栞子のお母さんのことが少しずつ明らかになります。
顔は栞子とそっくりなのだけど、結構えげつない取引をやっていたようです。
坂口三千代の『クラクラ日記』を栞子に残し、失踪したのです。

またやってしまいました。『クラクラ日記』を『クララの日記』と覚えていました。坂口三千代は坂口安吾婦人で、クラクラとは銀座5丁目に安吾が亡くなった後に開いたバーの名前なのだそうです。
「クラクラ」とは、飲んでクラクラするという意味ではなく、フランス語で『野雀』というんですって。
おもしろそうなので、そのうちに読んでみますわ。

もう一つ、読みたい短編があります。
ロバート・F・ヤングの『たんぽぽ娘』です。
短編なので英語で読んでみようかと思ったのですが、英書なのでどの本の中に載っているのかちょっとわかりずらく、都心に出た時に丸善で探すしかなさそうです。
それにしても『たんぽぽ娘』っていう題名って・・・。
(kindle storeで探してみると、ありました。それも6ドル。安いので購入してみました)

本ってどうでもいい人にとっては価値がなく、好きな人には何物にも代えられない価値があるものです。
私は本を取っておこうとは思いません。読書家であって蔵書家ではないのですから。また読みたくなったら買うか図書館に行くかすればいいという感じです。

今回出てくる本はSFとか童話、宮沢賢治なので今までよりはとっつきやすいと思います。
この本の楽しみはどんな古書が出てくるのかというところなので、知っている本ならふむふむ度が上がります。

あとがきで四巻に載せる本が決まっていると書いてありました。シリーズが続いていくようですね。次ぐらいにおかあさんが出てくるのかしら?

谷保天満宮の紫陽花2012/07/03

紫陽花の綺麗な季節になったのですが、家の近所にはあまり紫陽花が咲いていません。この前お参りして梅と紫陽花が有名だということを知った谷保天満宮に行ってみることにしました。
あ、そうそう、谷保天満宮にいるのは鶏ではなくてチャボだそうです。今回は石段の上にいました。



雨なので、境内にはそれほど人がいません。
紫陽花は本殿の左側に行くとすぐに咲いています。


ピンクの幟がたくさんあります。あじさい祭というのに、特に変わったことはありません。
まず、オーソドックスな紫陽花です。


白い紫陽花もいいですね。


紫の紫陽花。


これは山紫陽花でしょうか。


同じような花ですが、ちょっと違います。


柏葉紫陽花というのを今年初めてみました。



柏のように大きな葉に円錐形の花序でゴージャスです。
八重の紫陽花もあります。


額紫陽花でしょうか。



狭い場所に色々な種類の紫陽花が咲いていました。


ライトアップもしているという噂がありますが、本当でしょうか?

実は私、こういう所ではなくて、道ばたにひっそりと咲いている紫陽花が好きです。

ジョージェット・ヘイヤー 『マシューズ家の毒』2012/07/05



ハナサイド警視シリーズといいながら、ハナサイド警視はそんなに登場しません。
本格ミステリと書いてありますが、ちょっと昔風のミステリです。

実業家のグレゴリー・マシューズが部屋のベッドで死んでいるのが見つかります。
高血圧の気があったので、病死だとみんなは思ったのですが、何故か検死してもらった方がいいというグレゴリーの姉のガートルード・ラプトン。
検死の結果はニコチンによる毒殺であることがわかります。
さて、犯人は誰なのか。

グレゴリーは嫌われ者で、誰に殺されても不思議ではない人でした。
屋敷には姉のハリエットと義理の妹のゾーイ、そしてゾーイの子供のガイとステラが暮らしていました。
ハリエットとゾーイはそりが合わず、ガイはブラジルに送られようとしており、ステラは医師との結婚を反対されていました。
グレゴリーが死ぬと、遺産のほとんどは甥のランドールのものになります。
マシューズ家の誰もがグレゴリー殺害の動機があったのです。

しかし、ハナサイド警視は悩みます。動機はあっても証拠がないのです。
というのも、貧乏性のハリエットは警察が来る前に、早々とグレゴリーの持ち物を処分してしまったのです。

読んでいて思うのは、「ハナサイド警視はどこで何をやっているの?」ということばかり。だって、出てくるのはマシューズ家の、特に女性たちのくだらない話ばかり。
1930年代の資産家の暮らしってこういうものなのね。

アメリカの1930年代というと、大恐慌にはじまり、その脱出を計った「ニューディールの10年」だったそうです。

1930年代の中産階級の生活や風俗が好きな人にお勧めです。

高橋由太 『もののけ本所深川事件帖 2~4』2012/07/07

このシリーズの第一弾が『もののけ本所深川事件帖 オサキ江戸へ』でした。
この後、第四弾まで発売されています。


第二弾は『オサキ鰻大食い合戦へ』という題名で、題名通りに手代の周吉が鰻の大食い合戦に出場するという話です。
何故わざわざそんなものに出るかというと、お店の大事な預かり物の高級掛け軸が何者かによって燃やされてしまったからです。その掛け軸は百両で売って欲しいといわれていたものです。
百両なんて大金、お店にはありません。このままではお店が潰れてしまいます。
そこで考えたのが、周吉が優勝者に百両という鰻大食い合戦に出るという事です。

オサキモチは不思議なことに、いくら食べてもお腹がいっぱいにならず、いくらでも食べられるという力が備わっているのです。
これでは周吉の一人勝ちかと思ったら・・・。

第三弾は『オサキ婚活する』。
本所深川で疱瘡が流行り、娘たちは戦々恐々。というのも、疱瘡にかかってしまうと顔にあばたがのこり、器量が落ち、嫁に行けなくなるからです。
娘たちは「疱瘡地蔵」へお参りに行き、疱瘡に罹らないようにお願いしていました。
そんな時に、娘が何者かによってさらわれる事件が起こります。

そんな頃、周吉は主人から娘お琴と結婚しないかと言われます。しかし、周吉は煮え切りません。そんな周吉にみんなは呆れるばかり。
そこにお琴の見合い話がもちあがります。
相手は勘定方の武家。
お見合いはちょうど桜が見ごろの大川堤で行われることとなりました。

大川堤では毎年桜の頃、女比べが開かれます。
女比べとは、誰が一番綺麗かという今でいうミスコンみたいなものです。
普通ならお琴が大川堤に行っても問題ないのですが、今年に限って裕福な旗本の三男坊の小暮祐三郎が結婚相手を探しにやってくるというのです。
お見合いの日はよりにもよって祐三郎が来る日なのです。

周吉はどうするのでしょうか・・・。

第四弾は、『オサキと江戸の歌姫』。
雨が多い毎日。このままでいくと、大川が氾濫してしまいます。
ちょうどその時、雨止めの伝え歌「十人の仔狐様」を歌う十人組みの歌組”本所深川いろは娘”が大流行になっていました。
”深川本所いろは娘”とは昔のモー娘。みたいなものです。
十人の歌の上手い娘たちが歌を歌っているのです。

ある日、一番人気の小桃が大川で死体となって見つかります。
小桃の後を埋めるために、お琴が入ることになり、手代の周吉はお琴に付き添うことになります。
”本所深川いろは娘”は仔狐寮で一緒に生活しています。
お琴と一緒に寮に行ってみると、「十人の仔狐様」の歌詞のように次々にいろは娘たちが死んでいきます。

さて、誰が娘たちを殺しているのでしょうか。

江戸時代の風俗など知らないのですが、本当に鰻の大食いとか女比べ、”深川本所いろは娘”とかあったのでしょうか?
最後のいろは娘は作者の創造のような気がしますが。

私が気に入っているのが、蜘蛛ノ介です。
いつもいつも周吉が絶体絶命の時に現れ、峰打ちだといいながら斬ってしまうという変なお方です。どういう人なのでしょうね。

他の江戸物に比べると内容・文共に稚拙に思いますが、オサキがかわいいので許しましょう。



神田明神に寄ると、本殿の左右に笹の葉が。お参りする人たちが何やら書いて結びつけています。(なんとなく右側に見えませんか・・・)


四時から七夕祭をするようでした。
神田明神は夜に灯りをともしたり、神馬を飼ったりと色々と人を呼ぶために努力しているようです。
そういえばあかりちゃん、今日はいませんでした。
雨が降ってきたので、小屋に入れたのかもしれませんね。

国立散歩2012/07/08

入谷で朝顔市をやっているという話を聞いて思い出したのが、国立の朝顔市です。
先週大学通りを歩いていて、一橋大学の門の横にテントが張られており、そこに朝顔市が今週あると書いてあったのです。
小雨だったので、思い切って出かけてみました。
朝顔を買って帰る人がチラホラいます。売り切れていなければいいのにと思いながら行ってみると、大分朝顔が残っています。


一鉢買ってみました。一鉢1500円。


四種類の色の朝顔が咲く鉢にしてみました。一種類のもあるようです。


毎朝水をやるのを忘れないようにしなければなりません。
朝時間に追われているので忘れそうですが、気をつけますわ。

ついでに葉葉屋でスコーンを買っていくことにしました。
長野のジャムも売っていたので、一緒に買いました。
クロテッドクリームとジャムをつけて食べるのが好きな人にはやっぱりプレーンがいいですね。
私はそのまま何もつけずに食べるのが好きなので、レーズンとキャラメルのスコーンをいつも買ってきます。


お腹が空いたので、ティーハウスで軽いランチにしました。


ここではアイスティー砂糖入りと砂糖なしと三種類のお茶が楽しめました。
ランチの時間2時までお茶は飲み放題のようですが、いくらなんでも2時まで飲み続けられません。バニラ、いちじくなどの香りのフレバーティーを飲みました。
たまにフレバーティーもいいのですが、味はやっぱりダージリンなどのブレンドされていないストレートティーの方が好きです。
ガレットセットにし、夏野菜とモッツァレラチーズのガレットにしました。
この前、平日にランチした時はサラダと小さな焼き菓子が出ました。
ランチをするなら平日がお得なようです。

このまま帰るのもなんなので、ブラブラと歩いていると、「コフィア」というコーヒー豆屋がありました。ここでは珈琲豆と紅茶、茶器、輸入品のお菓子などを売っています。
7月からモカアイスが食べられます。喫茶コーナーで食べられるという事なので試してみました。


カップもあります。
濃厚なアイスにコーヒーの味が仄かにします。7月中なら250円で食べられます。
アイスと言えば、大学通りの紀伊国屋横に「ミルクトップ」がありますが、そこよりミルク味がしっかりしていて、美味しいです。

散歩途中で見つけた紫陽花です。梅雨もそろそろ終わりが近づいています。
紫陽花も終わりのようです。




S・J・ローザン 『この声が届く先』2012/07/10



このシリーズはどれを読んでもおもしろいです。
今回は、「リディア誘拐される!!」

ビルの所にリディアから電話が来ます。
誘拐されたというのです。
声を機械で変えた男は、昔ビルのせいで捕まったことを恨みに思っているようで、ビルにゲームを持ちかけます。そのゲームとは、12時間でリディアを見つけるというもので、負けたら彼女を殺すと脅します。
リディアを助けるためにゲームに参加することにしたビルです。
一回目のヒントはドアのノブにぶら下がっていたオレンジ色のポリ袋。
ビルはリディアのいとこのライナスに電話をかけ、協力してくれるように頼みます。
ライナスはトレラという若い娘を連れてやってきます。このトレラ、結構役に立ちます。

ビルがヒントをもとに行ってみると、女性が死んでおり、最悪なことに警察がやってきて犯人と思われ逮捕されそうになってしまいます。
警察に捕まっている場合ではないと、逃亡するビル。

警察から逃れながら、誘拐犯とのゲームにビルは勝てるのか。
ニューヨーク中ををビルが駆け回ります。

いとこのライナスとトレラが次回も登場してくれると嬉しいですね。
次はリディアがメイン。どんな事件が起こるのかしら。

畠中恵 『ひなこまち』2012/07/13



しゃばけシリーズ最新刊です。

若だんなが得体のしれない木札を拾ってしまいます。
『お願いです、助けて下さい』
それ以来、色々な人たちが若だんなに相談事をもちかけます。
一体木札の主は誰なのか?

「ろくでなしの船箪笥」、「ぼくのふだ」、「ひなこまち」、「さくらがり」、
「河童の秘薬」と5編入っています。
若だんなは相変わらずのひ弱ですが、謎解きは上手いようです。


この前、『ベルリン国立美術館展』に行ってきました。
有名なフェルメールの≪真珠の首飾りの少女≫の横に『サービスの裏方たち』という本の中に出てきた『黄金の兜の男』がありました。
この絵は高倉健がある外国のホテルで見て魅入らせられ、わざわざ模写をしてもらったという絵です。


本物をこんなところで見るとは思いませんでした。
この絵はレンブラントの作品だと言われていましたが、今はレンブラント派となっています。微妙ですね。”派”とは一体・・・?

アレクサンダー キャンピオン 『予約の消えた三ツ星レストラン』2012/07/14



国立のあさがお市で買ったあさがおが咲きました。四色の花が咲くと言われたのですが、三色咲きました。後一色は何色でしょうか?
予想としてはピンク色ですが、どうでしょうか。


コージーブックスから新刊がでました。
フランスの作家のものかと思ったら、アメリカ人の書いたパリ物らしいです。

パリ警視庁の警部で、夫がレストラン評論家というカプシーヌ・ル・テリエはブルジョア出身のお嬢様。
警視庁では主にホワイトカラー犯罪を扱っていますが、うんざりしています。
彼女は「現場に出て生の人間、生の感情、生々しい犯罪」に取り組みたいのです。
そんなわけで、警視試験を受け、違う配属場所に行こうと、上司のタロン警視正に許可を求めていました。
ちょうどその話をしている時に、彼女も利用している三ツ星レストラン<ディアパソン>の冷蔵室で死体が見つかったという電話が入ります。
そんなに望むのなら一週間だけその事件を扱うようにということになります。

カプシーヌは夫の協力を得て、捜査に乗り込んだのですが…。

翻訳が下手なのか、原作がおもしろくないのか、とっても読みずらい本なのが残念です。
ブルジョアのお嬢様捜査官なんて発想はいいのですがね。
令嬢刑事・宝生麗子よりフランスのブルジョア刑事の方がお嬢様度は上のようです。

帚木蓬生 『日御子』2012/07/15



帚木の歴史小説。
卑弥呼を主人公に選んだのかと意外な思いを持ちながら読み始めました。
しかし、主人公は卑弥呼ではありませんでした。
使譯(しえき・通訳)一族の何代にもわたる話でした。

海を越え、大陸に渡り、国の平和のために力を尽くす使譯たち。
彼らには代々に語りつがれていた教えがありました。

「人を裏切らない」
「人を恨まず、戦いを挑まない」
「良い習慣は才能を超える」
「骨休めは仕事と仕事の転換にある」

この小説では九州に舞台を設定しています。
国の外交政策として考えると、「人を裏切らない」とか「人を恨まず、戦いを挑まない」など言っていられないという感じでしょうね。
でも、人間として考えると、これらの4つの教えは大事なことです。
国家も人の集まりではありますが・・・。

前作の歴史小説に比べると淡々と物語が書かれています。そこが物足りなく思うところもあります。実際はこのような使譯の一族はいなかったのでしょう。
帚木の本を読んだ同僚が言っていた帚木の持つ優しさ、人間性善説のにじむ本でした。

レスリー・メイヤー 『はた迷惑なウェディング』2012/07/18

主婦探偵ルーシー・ストーン・シリーズの八作目。
このシリーズはアメリカの子持ち家庭の生活がわかるものです。
今回はちょうどタイムリーな夏休みの子供たちの生活が出てきます。


主婦からいつのまにかフルタイムの週刊新聞『ペニーセイヴァー』の記者になっていたのが、主人公のルーシーです。
どうも夫のビルはルーシーが仕事をしているのが気に入らない様子です。
夏休みには、大学一年生のトビーは博士論文の調査プロジェクトの手伝いをし、秋から大学に行くエリザベスはホテルの客室係のアルバイトをして学費を稼ぎます。
次女のセアラと三女のゾーイは町の動物友の会の保護施設で行われるデイキャンプに行くことになっています。
学校は無料なのに、学校と同じことをやっているデイキャンプはお金がかかると嘆くルーシーの気持ちはよくわかります。
その上、お金だけではなく、子供たちをそれぞれの場所に送って行くために車で送って行かなければならないのですから。お母さんはどこの国でも大変です。

そういえば、デイキャンプは泊りがけのものばかりだと思っていましたが、そうではなく、家から通えるものもあるのですねぇ。宿泊するものより安くていいのかもしれませんね。

子どもの世話だけでも大変なのに、親友スーの娘シドラが結婚することになり、スーはビルの建てたあずまやを結婚式に貸してくれないかと言ってきます。
あずまやを貸すだけで収まるはずがありません。結婚式の手伝いまでやらなければならなくなったのです。
それどころではないのに、結婚相手ロンの母親テルマが現れ、結婚式に色々と口を出してきます。
ロンはパッとしない男ですが、ビル・ゲイツのような大富豪だとのことです。
シドラは玉の輿です。

なんやかやでテルマの言うままにウエディングシャワーをヨットですることになってしまいます。
ところが、そのパーティでロンが海に浮かんでいるのが見つかりました。
彼は泳げなかったのです。

孤軍奮闘のルーシーですが、肝っ玉母さんですね。
今回とっても気になったのがあずまやです。
もし家に庭があったら、建ててみたいです。
あ、周りの景色がよくないと無駄になりますね。

次はどんな騒動が持ち上がるのか楽しみなシリーズです。