中野康司 『ジェイン・オースティンの言葉』2012/08/12



イギリスの好きな作家はジェイン・オースティンです。
20代女性の結婚相手探しというような内容の小説ばかりですが、これがおもしろいのです。
彼女たちは特に策をめぐらすわけではなく、色々な障害にも負けず、清く正しく、そこにいるだけで、何故か良縁がやってきます。
出てくる人たちが個性的で、こういう人、いるよねという感じですが、どんなにひどい人でも滑稽に思え、愛すべきキャラクターになっています。

「オースティンの小説は、(略)結婚を前提とした恋愛小説としてすばらしい」
「平凡な日常生活から生まれる笑いの文学としてすばらしい」
「人間の生まれつきの能力と生活を、皮肉とユーモアをこめてあざやかに描き分けるオースティンのペンは、まさに名人芸である」

中野さんはこうオースティンの偉大さを讃えています。

この本は小説の中からの言葉を取りだして解説しています。読み進んでいくと、作品の内容がわかるようになっています。
例えば・・・。

「若い娘のいちばん好きなものは結婚だが、二番目に好きなものは、ときどきちょっとした失恋をすることだ」(ベネット氏、『高慢と偏見』第二十四章)

ベネット氏は主人公のエリザベスのお父さん。
姉のジェインがピングリー氏から振られたと思い、家族がピングリー氏に頭にきている時に言う言葉です。
一見、娘を突き放しているようですが、私は彼の娘を思う気持ちが表れている言葉だと思います。ベネット氏のこの何事も気にしない性格、私、好きです。家族だと頭にくるのでしょうが。

大雑把に内容を捕えてから原文に触れてみるのもよさそうです。
Project Gutenberg」で無料で原文を読めます。
私はkindleに取り込んで、『高慢と偏見』を読みました。

いいオースティンの入門書だと思います。

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