今井絵美子 『さくら舞う』2013/01/05



テレビドラマになった「みをつくし料理帖」と同じハルキ文庫から出ているのが、このシリーズです。
「みをつくし」の澪は料理人を目指す若い女性ですが、おりきは品川宿門前町にある立場茶屋の二代目で、「情に厚く鉄火肌の美人女将」。
実はおりきは元武家で、立木雪乃という名でした。
父親の立木青雲斎は西国の小藩で五十石を賜り、新起倒流立木道場を創始した武道家でした。
跡目のことで色々とあり(その辺は本で)、雪乃は全てを捨ててあてもなく逃げ、品川宿までたどり着き、浜辺で死のうとしたとき、声をかけたのが立場茶屋先代のおりきでした。
雪乃はおりきに助けられ、立場茶屋で働くうちに認められ、二代目おりきを継ぐこととなったのです。

立場茶屋とは「五街道やその脇街道に設けられた」茶屋のようです。
おりきの茶屋は特別で、茶屋だけではなく宿泊施設もあります。
一見さんお断りで、腕のいい板前がいるので美味しい食事があり、おりきのアイデアで季節季節の趣向があり、なかなか評判の宿のようです。
お月見の頃の様子が出てきて、一度でいいから泊まりたいと思いました。

「みをつくし」は澪に次々と災いがやってきますが、このシリーズはおりきと縁を持つ者たちの災いを彼女がどう解決していくかがメインの話です。
「仏性」という言葉が何回も出てきますが、それがぴったりのおりきです。

江戸物を読むとおもしろいのが表現です。
例えば、「金壺眼」、「結構人」、「一刻者」とか、「おぼおぼしい笑い」、「競い肌」、「尻に目薬」、「女に負けて七ふぐり」などなど。
意味が全部わかったら、江戸物の権威(おおげさですね。物知りぐらいかな)です。


止めようとは思ったのですが、またまた犬の話題を。


ただ餌を食べているだけだと思わないでください。
右足が上がっています。
どうしてでしょうね。

では、片足立ちの変顔を。


「失礼な。僕はこんな変な顔じゃないやい」