矢野帰子 『海に降る』2016/01/23



「宇宙航空研究開発機構(JAXA)」は有名でも 「海洋研究開発機構(JAMSTEC)」はなかなかお目にかかる機会がないですね。
私もこの本で初めてこの法人のことを知りました。
宇宙は夢があるけれど、深海はないということはないでしょうにね。

有人潜水調査船の技師だった父の影響で、女性初のパイロットになることを夢見ていた深雪は、有人潜水調査船「しんかい6500」での初浸水の時、閉所恐怖症に襲われてしまいます。
そのため有人潜水調査船チームから外され、広報部に預けられます。
そんな深雪のもとに、深雪の母と離婚し、アメリカに住んで再婚している父の腹違いの弟がやってきます。
彼は登校拒否気味で、深雪の家から日本の学校に通いたいと言いだし、弟と一時一緒に暮らすことになります。
一方、広報部には学者だった父の仇討のためにJAMSTECに転職してきた高峰浩二がいました。

周りの暖かい目に囲まれながらパイロットへの道を歩む深雪の姿と共に深海の描写が目に浮かぶようです。

実は私、生き埋めになったり、溺れたりすることがとっても怖いのです。
人間魚雷「回天」の話、『出口のない海を読んで想像して、気持ち悪くなったことがあります。
自分が回天に乗ったら、気が狂ってしまうと思います。
飛行機には乗れても潜水艦には絶対乗れないです。
私のような人はこの本を読んで、深海のロマンに浸りましょう。
「海に降る」の後に「雪」が続きます。

深海の雪とははたして何か・・・。