「鴻池朋子展 根源的暴力Vol.2」@群馬県立近代美術館2016/08/02

新聞に載っていた写真を見て、夫が急にこの展覧会を見に行きたいと言いだしました。


この鮮やかな色使いに惹かれたのです。
群馬の草津へ電車やバスで行ったので、遠いところという印象があったのですが、
車で一時間ちょっと。
意外と近いですね。
近代美術館は高崎市の公園の中にあるので、市民の憩いの場所になっているようです。


群馬の森公園に馬の像がいくつかありました。
群馬はシンボルが馬なのでしょうか?


群馬近代美術館はおもしろい作りの美術館です。


入り口に子どもぐらいの背の高さの、「12人のホイト」という作品が飾ってあります。
牛革に水生クレヨンで描いたようです。

この展覧会では写真が自由に撮れます。

             
奥が「ヤマナメクジと月」。
壁には「Where the Wild Things Are」、手前に素焼粘土の海の生き物。


夫が一番気に入った絵です。
心臓を描いているのですが、タイトルは未定。
心臓の中から骨のような物が出てきているのかな?

「ツギハギ小屋」があり、中で影絵灯籠が映されていました。
赤ずきんちゃんのオマージュ。

なんといっても圧巻なのは、「皮緞帳」です。


大きさが写真では想像できないでしょう。
高さ6メートル、幅24メートルだそうです。
小さな女の子はこれぐらいです。


右側には火山の噴火と子供の描いたような絵、真中は心臓と背骨、その下に蛾、きつねやねずみ、カエルやヘビなどの動物、左側には黒い髪のような蠢くものが描かれています。

鴻池さんは東日本大震災後絵を描けなかったそうです。
昨年からキャンバスではなくて皮に絵を描くようになったそうです。
この緞帳を作るのに、何頭の牛の革がひつようになったことか。


根源的暴力とは何か、と考えさせられます。
鴻池さんは、「人間が物を作って生きていくということ自体が、自然に背く行為となる根源的暴力となる」と捉えているそうです。

ところどころに彼女の言葉がちりばめられています。
その言葉をヒントに、この展覧会は見て感じる展覧会のようです。
皮緞帳は巡回するうちに加筆され、変容していくそうです。


鴻池さんの描く女の子の中で、この作品が気に入りました。
「オオカミこども」という作品だと思います。

作品を見ているうちに、触りたいという欲求に囚われました。
会場を出た先に陶磁器と皮が置いてあったので、触ってみました。

展覧会を見た後に美術館のレストランでランチを頂きました。
ランチの後に、二階の展示室で群馬近代美術館のコレクションを見ました。
よくわからない抽象画もありましたが、黒い木で作った作品が気に入りました。

帰りはガトーフェスタハラダ本店と入間のアウトレット経由でした。

矢崎存美 『ドクターぶたぶた』2016/08/03

またまたおもしろい寝相を見せてくれました。


いつの間にか頭が出ていました。
手がかわいらしいですね。

写真を撮られているのはわかっているのですが、身体が動かないという、人間でいうと金縛りにあっているような状態なのでしょうね。
折角寝ているのに迷惑かもしれないので、しばらく写真を撮るのは控えましょう。



ぶたぶたさんが医者になってしまいました。
それも消化器系内視鏡手術のエキスパートなんです。
いくら上手い医師だとはいえ、ぬいぐるみですから、内視鏡手術をお願いするのは躊躇しますよね。
その所をどうぶたぶたさんは乗り越えていくのでしょうか。

表紙の絵がいつも思うのですが、とってもかわいらしいです。
絵からは女の子のぶたさんを想像するかもしれませんが、ぶたぶたさんは中年男性ですから、そのギャップがいいんでしょうね。


太田詩織 『櫻子さんの足元には死体が埋まっている(8) はじまりの音』2016/08/07

七夕祭りをやっている阿佐ヶ谷に行ってきました。
相変わらず人が多いです。
お店の前で売っている食べ物を食べたりするのが楽しみなのでしょうね。

今年の金賞はこの鉄人28号。(照明のあたらないところにあったので、残念)


噂の人がいました。


手にもっているのはなんでしょうね。
昨年はこれはいいというのがあったのですが、今年はそれほどでもないような。
途中で人ごみが嫌になり、横道から中通に出てカレーを食べて帰りました。


kindleで発売されていたので、続きを読んでみました。

今や有名な観光スポットになっている「青い池」が出てきて、二年前に行っている私は嬉しくなりました。
どこに死体があったんだろうなんて、思ったりして。

設楽教授のお見舞いに正太郎君が櫻子さんと一緒に行った時に、正太郎君は青葉さんという教授の後継人に会います。
この時、青葉さんの態度がよくなく、いい印象を持ちませんでした。
ところが後日、謝罪の意味で青葉さんはヘビのブリーダーのところに連れて行ってくれました。
その帰りに寄った青い池で、彼らは死体を見つけてしまいます。


櫻子さんと出会ってから死体に遭遇することの多くなった正太郎君。
気をつけろ!君の将来はどんどんと違う方面に向かっているぞ。

花房との対決は先送りになっています。
対決=物語の終わりなのでしょうね。

小路幸也 『ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード』2016/08/08



年に一回発売される、東京バンドワゴン・シリーズの11作目です。

堀田家のみなさんは元気です。
85歳になる勘一さんはイギリスまで行ってしまいます。
花陽はもう高校三年生になり、東京の私立の医大を受験することになります。
研人は顔を出さずに音楽デビューしていたのですが、あることがあり、テレビに出演。
他の女性たちはこれといったことがなく、ちょっとさびしいですね。
IT企業社長の藤島さんの家族のことがわかり、赤ちゃんだったかんなと鈴花は4歳で友達のことを思いやれるようになっています。

マンネリ化したとか、飽きたとかいいながら、読んでしまうシリーズです。

朝井まかて 『眩(くらら)』2016/08/11

相変わらず、我が家の犬は大胆な寝方をしています。


スヌーピー小屋は壊されたので、新しい物を買いました。
まだスヌーピーは無事です。

ヨーキーは小心者なので、ハウスの中でクッションの下に寝ています。
いつになったら兄のように、お腹を上にして堂々と寝るのでしょうね(笑)。



北斎の娘で風景画から春画までこなす画家でもあるお栄(応為)の生涯を描いた作品です。

女でありながら、絵の世界に魅せられ、家事をするぐらいだったら絵を描いていたいというお栄。
口うるさい母や借金まみれの甥に悩ませられながらも、自分の世界を切り開いていきます。
江戸時代に女絵師であるということはどんなことだったのでしょうか。
幸いなことに女であったために父・北斎と競うこともなく、自分の世界を切り開いていけたのかもしれませんね。

表紙の絵は「吉原格子先図」(太田記念美術館蔵)。
廓から出ている明かりに照らされている様が美しいです。
江戸時代に描かれたとは思えない遠近法を取り入れた絵ですね。

本の中にはこの絵の他に三種類の楽器を弾く三人の女性を描いた「三曲合奏図」(ボストン美術館蔵)や毒矢の治療をしている「関羽割臂図」(クリーブランド美術館蔵)、「春夜美人図」(メナード美術館蔵)などが出てきます。


毒を抜くために血を抜いているのに平然と囲碁をうっているのがすごいですね。


町娘と芸者、遊女がお琴と三味線、胡弓を演奏しています。
現実にはありえませんが、じっとみていると音が聞こえてくるようですね。

応為の絵を見てみたいですが、この2つはアメリカにあるようで、残念です。
応為の晩年は知られていません。
どういう一生を送ったのか、興味があります。

若竹七海 『静かな炎天』2016/08/14

子どもの夏休みの工作ではないけれど、手作り万華鏡を作ってみました。
今まで工作をやった記憶がありません。
もともと立体的なものは向いていなかったようで、算数でも図形は苦手でしたから。


意外と簡単なんですね。
万華鏡の中身のビーズはどれぐらい入れるべきなのか、悩みました。
もっと入れた方がいいのかしら?
ミラー同士の接続があまかったらしく、後から隙間ができてしまい、のぞいてみると見えてしまいます。
失敗です(恥)。



久しぶりの女探偵・葉村晶の登場です。

彼女は探偵の仕事が暇なときは吉祥寺のミステリ専門書店<MURDER BEAR 
BOOKSHOP>でバイトをしています。
この書店、おもしろいフェアをしています。
例えば、<甘いミステリ・フェア>や<サマーホリデー・ミステリ・ミニフェア>、<クリスマス・ミステリ・フェア>・・・。
どの書店もフェアをして売れ行きを伸ばさないとやってられないのでしょうね。

書店オーナーが事故で足を怪我したため、葉村さんがてんてこ舞いの働きをしているというのに、何故か次々と探偵依頼がやってきます。
そこはやり手の彼女のことですから、簡単に片づけてしまいますが、裏がありました。

なんか色々と人に手こずっている彼女がかわいそうなのですが、コミカルでもあります。
次はじっくり読ませる長編をお願いします。

クレオ・コイル 『眠れる森の美女にコーヒーを』2016/08/19

コクと深みの名推理シリーズの14作目。


セントラルパークで、秋のフェスティバルが開催されました。
テーマはおとぎ話。
コーヒーハウス≪ビレッジブレンド≫もコーヒー・トラックで参加しています。
トラックのテーマは『ジャックと豆の木』。
マネジャーのクレアはジャックの母親になっています。
元夫のマテオは急に白馬の王子さまにさせられます。
恋人のマイク・クィンは仕事でやって来れず、その代わりに彼の元妻のレイラが子どもたちを連れてきました。
クレアはレイラに子どもたちを押し付けられてしまいますが、その子どもたちが行方不明になってしまいます。
なんとか子どもたちを見つけましたが、彼らの愛犬が行方不明で、クレアは犬を見つけることを約束します。
犬を探しにマテオと行くのですが、なんとそこでピンク・プリンセス姿で昏睡状態になった女性を見つけてしまいます。
犯人として逮捕されたのが、マテオ。
クレアはまた事件解決にのりだします。

今度は前以上にクレアが活躍します。
普通のコーヒーハウスのおばさんというよりも、隠れ情報部員という感じになってきています。
マタハリもびっくり。

マテオがエチオピアかで探してきた魔法のコーヒー豆がでてきますが、そんなのって本当にあるのでしょうか?
あったら一度飲んで、未来を占ってみたいものです。

マイクとの間に新しい展開があります。
このシリーズも終わりに近づいているのですかね。

高田郁 『あきない世傳金と銀 二 早瀬篇』2016/08/20



学者の娘で、父の死後、大阪天満の呉服商「五鈴屋」に女衆として奉公している幸は十四歳になりました。
店主が放蕩三昧で、嫁に逃げられ、存続の危機ということで、白羽の矢がたったのが幸でした。
店主徳兵衛の後添えに幸をというのです。
迷いに迷ったのですが、商いに魅せられた幸は一生「鍋の底を磨き続ける」生活よりも、自分の運命を自分で切り開いていく道を選びます。

幸の十四歳から十七歳が描かれています。
次はいよいよ本格的に幸が「五鈴屋」のご寮さんとして活躍するでしょう。


我家の犬は相変わらずです。
兄はひっくりかえって寝ています。


雨の後、急いで散歩に行くと、暑さに弱い弟はハアハアと舌を出し、目はぎょろ目。


すぐに座り込んでしまいます。


その点、兄は元気です。
血統書付の犬は弱いというのは本当ですね。
弟は夏バテなのか、ご飯も食べたり食べなかったり。
ミックス犬(ようするに雑種)の兄は暑さにも寒さにも強く、いつも完食です。


桐野夏生 『バラカ』2016/08/21



(ちょっとネタバレ)

震災で原発4基がすべて爆発。
警戒区域で犬たちに守られるようにしているのを発見された少女がいました。
彼女は自分のことを「バラカ」と言いました。
犬の保護ボランティアに来ていた老人、豊田が彼女を引き取ります。
彼女は原発推進派や反対派から運動のシンボルとして狙われ、豊田と共に日本国内を転々として暮らすことになりました。

出版社で働く沙羅は結婚はしないが子供は欲しいと思い始め、テレビ局に勤める友人、優子の勧めでドバイに幼児を買いにいきます。
そこで出会ったのが、日系ブラジル人の子。
その子を気に入った沙羅は、自分の子として日本に連れ帰ります。
ところが子どもは沙羅になつかず、頼みの綱だった母親は急死。
偶然、葬儀屋をしていた川島と再会し、沙羅は彼と結婚をし、仕事まで辞めてしまいます。
しかし、川島は転勤で東北へ。
妊娠し、子どもを憎むようになった沙羅は、子どもを優子にあずけ、東北へと引越します。
ところが、その時、地震が起こり、津波が押し寄せてきました。
たまたま東京に来ていた川島は優子から子どもを奪い、東北へ・・・。

豊田と幸せに暮らしていたバカラたちのところに三人の男女がやってきます。
豊田は彼らを信用していなかったのですが、バカラの過去を知っている女性が昏睡状態に陥っていると聞き、その女性のところへ行ってみることになります。
このことがバカラに災いをもたらすことになります。

運命に翻弄されているバラカがどうやって生き残っていくのか、ハラハラしながら読んでいきました。

小説ではありますが、色々な社会問題が描かれており、そのことを考えると、これからの日本に対して暗澹たる気持ちになります。
オリンピックで浮かれている場合じゃない。
やり残していることはないのか。
過去から何も学んではいないのではないのか。

世の中はオリンピック報道一色で、フクシマのその後はどうなのかは全く報道されていません。
現在はどうなっているのでしょう?
真実を知りたいと思います。

「ポンピドゥーセンター傑作展」@東京都美術館2016/08/25



何十年か前にフランスに行った時にポンピドゥーセンターに行きました。
抽象画があまりにも多くて、サッと見て帰ってきました。
今回はどうかなと思いましたが、行ってみることにしました。

上野駅はすいています。
夏休みも終わりに近づき、子どもたちはみんな宿題をしているのかしら?
と思ったのですが、美術館も空いていて、とってもよい感じでした。
この展覧会のおもしろいところは、1906年から1年ごとに異なる作家の作品を一枚ずつ展示していることです。
ポスターのマチスは1948年、シャガールは1917年の絵です。
何故か1945年は絵ではなくて、エディット・ピアフの歌、「バラ色の人生」でしたが・・・。
この1年1作家1作品というのがおもしろい切り口だと思いました。


こういうのも作品もあります。
クリストの「パッケージ」、1961年です。


レオナール・フジタは猫と一緒に1928年。


セラフィーヌ・ルイは1912年。
修道院で神のお告げを聞き絵を描いたそうな。


この「寺院」の絵を描いたフルリ=ジョゼフ・クレパンも63歳の時に聖なる声を聴き、300枚以上描いたそうです。


ピカソの「ミューズ」は1935年。
愛人のマリー・テレーズが妊娠し、妻のオルガと別居した時のようです。
マリー・テレーズさんは真中の寝ている女性だそうですが、私だったらもっと綺麗に描いて欲しいですわ。

有名な作品がそれほどないかもしれませんが、作家の略歴などが書いてあるので、ひとつひとつが興味を持って見ることができました。


会場の外にはリサとガスパールがいました。