山口仲美 『大学教授がガンになってわかったこと』2017/01/13



図書館で予約本が来たので、散歩の途中で取りに行きました。
図書館のポールにリードをつけて待たせておくと、こんな風に待っていました。
躾けてないので、座ってじっと待つのは無理そうです。

「ママ、急にいなくなるのってひどい!僕、心配になったじゃない」by 弟わんこ




日本学部の教授がガンになりました。
最初は大腸がん。
血便がでたら、すぐに腸の内視鏡検査をした方がいいですね。
そうはわかっていても、真実を知るのは怖いので、私も躊躇しそうですが。

山口さんは職業柄か結構冷静な方のようにお見受けします。
がんってわかったら、普通の人は訳が分からなくなり、病院も医師が勧める所にして、転院はなかなかしないんではないでしょうか。
彼女はホームドクターから勧められた病院に一応内視鏡検査をしに行くのですが、事前の検査で嫌なことがあり、ホームドクターにはっきりとこの病院はこういう所が嫌だと説明し、他の病院を紹介してもらいます。
ホームドクターも分かりのいい人だったということもあるのでしょうが、山口さんも会ったことはないのですが、穏やかな物言いの人なのではないでしょうか。
「断る勇気を持つ」ことが、治療を受ける患者側の必須の心得である、と山口さんは書いています。

では、どうやって病院を探したらいいのでしょうか。
彼女は口コミでした。
同僚やら上司、知り合いに聞くのです。
がんなら身近に罹った人が大勢いますから、口コミはよさそうですね。
(難病系は身近にはめったにいないので、ネットやら本やらを見るしかないです)

後で彼女は2つの病院のどちらにしようか迷いますが、メリットやデメリットをよ~く考え、自分で病院を決定します。
もし、その選んだ病院がダメな病院だったら、出来る限り早期に転院すること。
当たり前のことですが、生死を左右することですから、色々と考えて時間のロスをしないようにしなければなりません。

手術が必要だと言われるとセカンドオピニオンも欲しくなります。
山口さんも気軽に他のお医者さんの意見も聞いてみたくなりました。
しかし、はっきり物を言う山口さんでも主治医にセカンドオピニオンのことを言いだせませんでした。
かかりつけ医との関係も上手く行っていなかったので、聞けません。
運のいいことに、山口さんの家の両隣が医師の家でした。(こんなこと滅多にないですよね)
隣のご主人の医院を教えてもらって、そこに行ったそうです。

かかりつけ医との関係は常に良好にしておくことが大事ですね。
私の友人はかかりつけ医に相談しないで、直接癌研に行ってしまいました。
後にそのかかりつけ医に抗がん剤のことを相談すると、「ネットに色々とのってるので自分で調べてみるといい」と言われたそうです。

山口さんは大腸がんの術後検診で脾臓に腫瘍が見つかりました。
すぐに手術ということになったのですが、彼女は手術することが必要かどうか迷っていました。
脾臓の手術は内臓の中では一番難易度の高い手術と言われているので、恐怖心を感じるようになっていたのです。
同僚の紹介でK(たぶん近藤)先生にデータを見てもらいましたが、彼はデータをよく見ずに「脾臓がんは手術しても助からない。手術をしなくてもいいでしょう」と言ったそうです。
知り合いの元医師の紹介でいったセカンドオピニオンの医師は、「早期に発見できたことは千載一遇のチャンス」だから手術を受けなさいと言いました。
彼女はセカンドオピニオンの帰りの電車の中で、同じ脾臓ガンで亡くなったスティーブ・ジョブズのことを思い出し、何もせずにいるよりも、チャレンジしよう、「生きる」ことに積極的な努力をしてみようと思い、手術を決断します。

手術を受けるかどうかは、手術予定日ギリギリまで考えて決断してもいいのです。
入院してからも考えていた人がいるそうです。
手術を受ける時には、術式と手術のリスクはちゃんと説明してもらいましょうね。

山口さんはいい医師や看護師に出会ったように思えるかもしれませんが、そうでもなかったことも正直に書いています。
医師の困ったチャンは、脾臓の手術をしてくれた医師です。
手術の腕は一流なのに、話すと患者を落ち込ませるんです。
抗がん剤治療に入ってから、山口さんは彼とは違う医師のところに行っています。
前にお世話になっていた医師に相談し、別の医師を紹介してもらったのです。
人柄の優れた紹介者なら、同じような優れた人を紹介してもらえる確率が高いと山口さんは書いていますが、実際にはそういう医師と知り合いになるのも難しいですよね。
がんで初めて病院にかかる人が多いんですから。

私の友人は抗がん剤治療を2回してから止めると言ったところ、医師に精神的疾患があるのではないかと思われたそうです。
癌の治療を途中で止めるには、医師と仲違いするぐらいの気持ちでいないと駄目なのでしょうかね。

一度読んでおくと、病気の対処法がわかっていいでしょう。
人間っていつまでも元気ではないし、いつか死ぬのですから、その時が来てあわてないことも必要だと思います。