乃南アサ 『しゃぼん玉』2017/01/27



通り魔や強盗を働き、日本国内を当てもなく彷徨い歩く23歳の伊豆見翔人。
ある日、彼はヒッチハイクで乗せてもらったトラックが希望する町に行かないことがわかり、ドライバーをナイフで脅してしまいます。
そのためうたた寝をしている間にトラックから叩き出されてしまいます。
なんとそこは見知らぬ山奥。
とぼとぼと歩いているうちに大怪我をしている老女スマと出会います。
彼女をほっておけなかった翔人は家まで送っていき、医者を呼び、病院まで連れて行きます。
周りの人たちは将人をスマの孫だと勘違いしてしまい、スマも何故だかそれを訂正しようとしません。
温かいご飯と寝床を与えられ、久しぶりにくつろぐ翔人でしたが、どこかに隠してある金を奪っておさらばしようという気持ちもありました。
そんな時に近所に住むシゲ爺がやってきて、祭のために働かないかと言うのです。
正直面倒で嫌だったのですが、シゲ爺は朝早くにやってきて翔人をたたき起こし、山奥まで連れて行きます。
何も長続きしたことがなかったのに、何故かハードワークの山仕事にいそしむようになっていきます。
しかし、こんな日々も長く続きませんでした。
スマの二男が朝早くにやってきてお金を無心し、彼女に暴力までふるったのです。
この時、翔人は二男に自分の父と自分の姿を見ます。

人は変われるものでしょうか。
自分の生まれを恨み自暴自棄になっていた翔人は、村人たちと触れ合ううちに「しゃぼん玉」のような自分の生き方を変えようと思います。

乃南さんは犯罪者の心理描写がうまいですね。
少年犯罪を犯す人たちがみな心根に翔人のような心を持っていればと思います。
どんな人でも変わろうと思えば変われる。
そう思いたいです。

映画化されて3月に公開だそうです。
スマを上原悦子さんが演じるそうです。
う~ん、何とも言えません。上手い女優さんなのですが。
ビデオになったら見てみましょうかね。

本はお勧めです。