村山由佳 『放蕩記』2017/05/26



母を愛せない娘の気持ちを綴った小説です。
親は子を愛するはず。子も親を愛するはず。
そういう神話は捨てた方がいいのかもしれません。

なかなか母親に自分の気持ちを言えない夏帆。
母と向き合うと恐怖から、何も言えなくなるのです。
妹は上手く立ち回り、母の影響をあまり受けていません。
大人になって小説家になっても、母との関係は変わりません。
しかし、母に認知症の症状が出始めてから、母とのことを書くことができましたが、母の呪縛からは逃れられてはいません。

たぶん母親は娘がこう思っているなんてこれっぽっちも思っていないでしょうね。
娘は自分が生んだのだから、自分に従うはずで、自分を愛していると思っていると思います。
いくらあなたのことが嫌いといっても聞く耳をもたないでしょうね。

村山さんはインタビューで、「母に対してわだかまりがあったり、母を愛せなかったり、いわゆる理想の母娘とのズレを感じている人は、いっぱいいると思うんです。でも、それは決して罪ではないのだと。そう感じているのは自分だけではないと思って、少しでも楽になってもらえたらいいですね」と言っています。

母を愛せない娘である人が読むと、ホッとできる小説かもしれません。
親でも相性ってものがあるから、相性が悪いんだと思うと少しは気が楽になるかもしれませんね。



暑くなるとハウスから頭が出る兄犬。
暑いからかもしれませんね。
ハウス以外にベッドがあるのに、夜にはそこでは寝ません。
ハウスが落ち着くようです。