今野敏 『棲月 隠蔽捜査7』2018/05/17



相変わらずの大森署長の竜崎伸也。
禊が終え、そろそろ・・・と心配な大森署のみなさん。

大森署の近くの私鉄に引き続き、銀行もシステムダウン。
竜崎はサイバーテロを念頭に置き捜査員を送りますが、相変わらず横やりが入ります。
同時期に管轄内で少年リンチ殺人事件が起こります。
同時に調べていくと、2つの事件に共通項が見つかります。

「原理原則はすべての物事の中心軸だ。人体で言えば背骨で、最も大切なものだ。それを無視したら、物事がまったく見えなくなる。
 問題に直面して右往左往している人は、原理原則を忘れているのだ。逆にそれをしっかりと押さえている人は、どんな問題にも対処できる」

竜崎にとって原理原則は、国家公務員なのだから、もっとも大切なのは、公務員としての役割で、国のために働くのだから、国民のために働くと言うこと。
この考えが彼の軸なので、彼は誰にも媚び諂わない。
最後まで淡々と原理原則に基づいて捜査を続けていきます。

今回は奥さんがいいです。
息子がポーランドに留学したいと言いだし、事件が解決するのがいつになるかわからないから話を聞く暇がないという竜崎に、「すみやかに解決しなさい」、伊丹と捜査一課長がいない間に「解決しちゃいなさい」なんて言えるんですから。
警官の妻は覚悟がいいですね。

ミステリ的に言うと、ワクワク感が足りなく、犯人もあっけなくわかってしまう作品です。
今回で終わりではなく舞台が変わっても、続いていくのでしょうかね。
どうせなら警視総監とか警察庁長官になった竜崎がどう働くのかを見てみたい気もします。