堀川恵子 『教誨師』2018/08/03



「教誨師」とは「受刑者に面会し、教誨(教えさとす)や教戒(教え戒める)を行う人」で、主に僧侶や神職、牧師、神父などがなっています。
この本では50年もの長きにおいて死刑囚の教誨師をしていた渡邉普相のことが書かれています。
堀川さんは死んでから世に出すとの約束で、彼から話を聞きました。
彼の生い立ちや教誨師になったきっかけ、心に残る死刑囚や死刑執行立ち会いのことなどの他に知らされていない死刑執行の実態が描かれています。
先日、オウム真理教の人たちの死刑執行が行われたので、もしいたのなら彼らの教誨師はどの宗教の人だったのか、執行の前に何を言ったのかを知りたいと思いました。

死刑制度については賛否両論があります。
賛成か反対かは、それぞれの人が考えるべきことですが、この本を読むと死刑が必要なのかと疑問に思うようになります。
死刑は人が人を殺す、「人殺し」(渡邉曰く)ですから。
例えば、仕事であるからと言っても死刑を執行した刑務官(でいいのかな?)の心に何も影響を与えないということはないでしょう。
教誨師の立場からしても、今まで関係を持っていた人が自分の目の前で亡くなるのですから。
渡邉でさえアルコール依存症で苦しみます。
罪は贖うべきですが、死刑にしてまで贖うべきでしょうか。

死刑制度について深く考えさせられる本です。