山寺香 『誰もボクを見ていない なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか』2018/11/01



祖父母や親を殺す少年犯罪が頻繁に起こるので驚くことがなくなり、またかとしか思わなくなってきています。

この事件は2014年埼玉県川口市で発生しましたが、残念ながら覚えていません。
殺した少年のことを当時のマスコミは詳しく報道していたのかしら?
祖父母を殺したと報道された時は、ただ単にお金が欲しいから祖父母を殺したと思ったと思います。
しかし、この本を読むと、少年の置かれていた家庭が普通ではないのがわかります。
悲惨な成育環境です。
彼が母親から引き離されていれば、このような事件は起こっていなかったでしょうに。
誰か彼の本音を引き出せる大人がいたら・・・と思います。
でも、そういう人ってなかなかいませんよね。
自分の周りに彼のような子がいるかどうか、残念ながら私には気付けませんもの。
一体どうすればいいのか・・・。
難しいことです。

自分の力の至らなさを感じつつ、出所してからの彼の人生が少しでも良くなることを心から望みます。

佐々木丸美 『雪の断章』2018/11/02

『ビブリア古書堂の事件手帖~扉子と不思議な客人たち~』で紹介されていたので読んでみました。
舞台が北海道で文体やら内容やらから三浦綾子が流行った頃のような古さを感じたので調べてみると、1975年に発表された作品のようです。
『氷点』が1965年ですから似たような時代ですかね。


孤児で施設に暮らしていた飛鳥は5歳の時に本岡家に引き取られるが、召使のような境遇だった。
娘たちの虐めに耐え切れず、家を飛び出した飛鳥はある青年に助けられる。
彼は滝杷祐也といい、本岡家に帰ろうとしない飛鳥を引取り育ててくれることとなる。
この時の飛鳥、7歳。
祐也と周囲の人々との暖かい交流で飛鳥は徐々に変わっていくが、飛鳥が高校に入学後、会社のアパートに本岡家の長女が引っ越してきたことから殺人事件が起こる。
飛鳥は殺したのは誰かを探っていくが・・・。

当時、北海道で流行ったとのことですが、全く記憶にございません。
大人の男性が7歳の孤児の女の子を引き取るなんて、ちょっと考えられないお話です。
飛鳥があまりにも頑なでかわいげがなく、今ならいじめの対象になり、不登校になりそうですね。
ミステリにはなりそこねているし、何を描きたかったのか今ひとつわからない話です。
女の子の空想をただ描いただけのような感じです。
残念ですが、私とは合わない小説でした。

島本理生 『ファーストラヴ』2018/11/03



2018年第159回直木賞受賞作品。
私が聞いたことのない作家さんだったので、芥川賞だとばかり思っていました。
映画の『ナラタージュ』の原作者だったんですね。
失礼いたしました。
この作品はミステリでしょうか?
読むのが少なからず苦痛でした。

臨床心理士の真壁由紀は女子大生・聖山環菜が義父を殺害した事件を題材とするノンフィクション本の執筆を依頼されました。
そのため環菜の面会に何回か行きますが、なかなか彼女が何故父親を殺したのかがわかりません。
一体彼女は何を隠しているのか。
少しずつ家族の関係が明らかになっていきます。

環菜の弁護士である義理の弟・我聞と由紀の関係。
環菜と両親の関係。
由紀と両親の関係。
それぞれが微妙に絡んできます。
ミステリとしてはもっとハードな内容を読んでいるので、意外性がなく、ミステリとして読むとおもしろくないかも。
といってこれは恋愛小説なのか・・・?

佐々木さんに続き、私には苦手な作家さんでした。

今村昌弘 『屍人荘の殺人』2018/11/04

またまた苦手な小説を読んでしまいました。


鮎川哲也賞と本屋大賞ノミネートなので、たいそうおもしろいのだろうと思って読んでみたら・・・。
なんで○○○がでてくるの?
ホラーか!
一応、密室殺人物なんだろうけど・・・。

大学に入り、ミステリ研究会に入ろうと思っていた葉村譲は、明智恭介に誘われ、彼の助手となり、ミステリ愛好会に入ることとなります。
明智はアルバイトとして探偵事務所でアルバイトをしたり、身の回りで起こる事件を探しては無理やり(?)入り込むことをしていました。
夏休みの八月、彼は映画研究会の合宿に同行しようとします。
断られても頓着せず、しつこく交渉するのが明智のキャラで、葉村はいつも呆れています。
今度もダメだと思っていた矢先に、剣崎比留子という女性から明智と葉村に映画研究会の合宿に一緒に行って欲しいとの依頼が・・・。

合宿に行ってみると、女の子はみな美人ばかりで、関係のなさそうなOBがやってきて・・・合宿とは名ばかり。
関係ないのに合宿にやってきた身としては彼らのペースに付き合うしかないと、バーベキューや肝試しをやっていると、やってきたのが・・・。

これ以上書くのネタばらしになるので書きませんが、疑問があります。
何故、剣崎はテロ組織のことを調べていたのか。
残念なのがこの本の主人公になると思っていた明智がすぐにいなくなってしまうことです。
そして・・・。
色々と書くと、これまたネタばらしになるので止めますわ。

○○○が出てくることが納得できれば、それなりにおもしろい本でした。
シリーズになったら一冊は続けてよむかも。

トリミングに行く2018/11/05

いつもより長く毛を切らなかったので、兄犬は顔がボッサボッサでした。
毛が目に入らないように少し切りました。
弟犬はあまり長さは気になりません。


凛々しい顔になりました。
トリミングのお店にクリスマスツリーのベッドがあったので、早いのですが買いました。


ソファの上では全く興味を示しません。
前に買った綿あめ屋は弟にやることにし、新しいツリーは兄に与えました。
弟はいつも使っているハウスではなくて、兄の臭いのついた綿あめ屋に入って寝ます。
兄はツリーの方に入っていきました。


気に入ったようです。


ちょっと小さいかしら?
でも、夜に見てみると、ちゃんと中で眠っています。


家の犬たちはどんな形でもいいようです。

川上途行『ナースコール!こちら蓮田市リハビリテーション病院』2018/11/07



お仕事の本です。
看護師の仕事は、どの科に配属にされるかにより少しずつ変わるんですねェ。
リハビリ現場の医療スタッフと言えば、医師を筆頭に看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などです。
回復期リハビリ専門病院は病気や怪我を治す場ではなくて、病気や怪我で失われた機能を回復するためにリハビリテーションを行う所です。
看護師さんの役割も普通の病院とはちがいます。
どちらかというと療法士さんたちの役割の方がめだちます。
看護師になって2年目の玲子が、普通の病院勤務の方がよかったのかなぁとか色々と悩みつつ自分の道を選んでいく様子がいいですね。

リハビリとは何かを知るために、是非読んでもらいたい本です。

2巻目も発売になっているようです。
kindle化はまだなので、なってから読みますわ。
表紙の暖かい感じがいいですね。

国分拓 『ノモレ』2018/11/09

本屋大賞 ノンフィクション本大賞の大賞作品が決まりましたね。
『極夜行』だそうです。
受賞前に図書館に予約しておいたので、今月中には読めそうです。
『告白 あるPKO隊員の死・23年目の真実』は読む時間がなくて途中で挫折してしまいましたけどね(恥)。
テレビのドキュメンタリー作品を本にした物って読みやすいものもあるけど、ちょっとというのも少なくないような気がします。
この『ノモレ』も本屋大賞ノミネート作品の一つで、NHKスペシャルを本にしたものだそうです。


1902年、ペルー、アマゾン。
ゴム農園で奴隷にされていた先住民が農園主を殺害し、二手に分かれて逃げた。
片方の先住民は故郷に戻ったが、もう片方の仲間は戻らず、100年以上の月日が経った。
2015年、突如イゾラド(文明社会と接触したことのないアマゾン先住民)が出現した。
彼らは会えなかったノモレ(仲間)なのか。
先住民イネ族のリーダー、ロメウは彼らと接触したが・・・。

ロメウの立場から本が書かれています。
ノンフィクションというよりも詩的過ぎてフィクションに近い感じです。
結末がちょっと期待はずれでしたが、分からない方がいいのかもしれませんね。

それにしても未だにイゾラドがいることに驚きました。
さすがアマゾン。
彼らが文明化してしまう方がいいのかどうか・・・。
難しいですね。

東野圭吾 『人魚の眠る家』2018/11/10

映画になるようなので、昔の本を読んでみました。
ミステリではなくて残念。
東野さんのミステリはまずまずですが、こういうのはあまり好きではありません。
臓器移植とか脳死について考えるきっかけにはなりそうですが。


6歳の娘がプールでおぼれ、意識が戻りません。
医師たちからは臓器提供を勧められ、脳死テストを行うのですが、その時に娘の手が動いたため、提供は断り、人口呼吸器をつけながら生かしておくことになります。
母である薫子と父である播磨和昌は娘の小学校受験が終わったら離婚することになっていました。
しかし、娘がこういう状態になってしまったので、離婚はせず、薫子が娘の介護をし、和昌は金銭的な援助と会社がBMI(ブレーン・マシーン・インターフェー)の研究をしているため、娘のために特別なバックアップをしていきます。
娘は意識は戻りませんが、身体は生きているかと思われるほどの健康な状態になります。
薫子は娘が生きていると固く信じていますが、周りは・・・。

日本では脳死をまだまだ受け入れられない人が多いので、臓器移植が進んでいません。
自分の国で移植できないからといって、アメリカまで行って移植するというのはどうなのかという議論もあります。
親の立場になると、自分の子には生きていて欲しいものねぇ。
ホント、こういうことを考えると答えはでませんねぇ。

本多孝好 『dele』&『dele 2』2018/11/11



「dele」とは「delete」すなわち「削除」という意味です。

『dele.LIFE』の仕事は、死後、誰にも見られたくないデータをその人に代わりデジタルデバイスから削除すること。
仕事は契約者が死んだと確実にわかってから行います。

3ヶ月前に『dele.LIFE』に勤め始めた真柴祐太郎は足を使って依頼者が死亡したという確認を取り、所長で車椅子の坂上圭司(ケイ)が携帯やコンピューターの中のデータを削除することになっています。
ケイは仕事を淡々と遂行しようとしますが、祐太郎はケイのようには割り切れず、遺族のために依頼者のデータを見ようとし、様々な事件に巻き込まれてしまうのですが・・・。

『dele 2』では祐太郎とケイの意外な過去が明らかになります。

祐太郎がゴチャゴチャうるさいので、削除するはずのデータを見てしまうたびに、「いいのか」と言いたくなります。
依頼者は誰にも見られたくないから高いお金を出して依頼しているんですよ。
残念ながら私には人に見られて困るデータがないので、依頼することはないのでいいのですがね(笑)。

今年の7月からドラマでやっていたそうですが、見ていません。
本がおもしろかったので、見たかったですわ。
坂上が山田孝之、祐太郎が菅田将暉だそうで、ぴったりのキャラだったそうです。
『dele 3』が出たら読みたいけれど、出るかしらねぇ・・・?

北川恵海 『ちょっと今から仕事やめてくる』2018/11/12



就職戦線でことごとく負け戦だった青山が、やっと内定をもらったのが中堅の印刷会社でした。
ここでもいいかと思い、軽い気持ちで働き始めたら、そこはパワハラと長時間労働がまかり通るブラック企業でした。
毎日、這うように会社に行き頑張っていたのですが、ある日、無意識にホームから飛び込もうとしていました。
その時、声が聞こました。
「久しぶりやな!俺や、ヤマモト!」
ヤマモトは自分は小学校時代の同級生だと名乗りました。

それから青山はヤマモトと親しくなり、一緒に飲んだり出かけたりするようになります。
ヤマモトは青山に会社を辞めることを勧めますが、一旦会社に入ったら辞めてはいけないと頑なに思っている青山は会社に通い続けます。
そんなある日、ふと疑問が沸き起こります。
一体ヤマモトは誰なのか?
本当に同級生のヤマモトなのか?

前に読んだ『西の魔女が死んだ』の大人版という感じです。
仕事に悩んでいる大人が読むと、少しはスカッとするかもしれません。

仕事を辞める時に、みんなの前で青山が言う言葉がいいですね。

「でも、そんな僕でもひとつだけ変えられるものがあります。それが、自分の人生なんです。そして、自分の人生を変えることは、もしかしたら、周りの大切な誰かの人生を変えることにつながるのかもしれない」

その時、その時の自分の居場所を探すことは結構難しいものです。
自分の気持ちに素直になり、ここは違うと思ったら違う場所に行くのもいいでしょう。
でも、どこにもぴったりする居場所がない場合があります。
自分でそこを居心地のいい居場所にするということも必要なのです。

仕事を辞めた青山君が次に見つけた仕事とは何か。
ちょっとベタでしたが(笑)。