宮下洋一 『安楽死を遂げるまで』2019/04/24



2018年第40回講談社ノンフィクション賞受賞作品。

本書による「安楽死」とは「(患者本人の自発的意思に基づく要求で)意図的に生命を絶ったり、短縮したりする行為」のこと。
安楽死の種類は(1)積極的安楽死(2)自殺幇助(3)消極的安楽死(4)セデーション(終末期鎮静)の四つがある。

宮下さんは欧米の安楽死を行う団体の医師や安楽死をする人、そしてその家族にインタビューをし、安楽死の場にも立ち会っています。
スイスは他の国とは違い、他国の人も受け入れており、医師が点滴を用意し、安楽死を望む人が自分で死ぬ時を選べます(自殺幇助)。
他の国では医師が注射を打って死に至らしめています(積極的安楽死)。
「個」が確立している欧米の一部の国では安楽死は合法化されており、自分でふさわしいと思った時に死を選ぶことができます。

一方、日本はやっと尊厳死という言葉が一般化しつつあるという感じで、無駄な延命措置を行わない傾向になりつつありますが、まだまだ安楽死までは無理です。
自分のこととして考えると、死が確実で苦しみが続くのなら、安楽死をしたいと思います。
家族が安楽死を望むなら、その意思を尊重します。
でも、こう考える人は少ないのでしょうね。
自分はいいけど、家族は嫌だという人が多いんじゃないでしょうか。

重い内容ですが、どう死にたいかを考えることも必要だと思います。
その入り口としてこの本を読むことを薦めます。

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