原田マハ 『美しき愚かものたちのタブロー』2019/06/30



国立西洋美術館で「松方コレクション」展をやっています。
前にも美術展とコラボした作品があったのですが、この本もそうなのですね(商売上手?)。

松方コレクションの主の松方幸次郎は川崎造船所の社長で、1910年半ばから1920年半ばにかけてヨーロッパ各地で絵画を買いあさり(失礼)ました。


「美術館っていうのは、たまらなくわくわくするものじゃないか」
「欧米に負けない美術館を創り、ほんものの名画を展示して日本の画家や、青少年の教育に役立てたい」

松方は自ら審美眼がないからと、ちゃんとした目を持った人のアドバイスを受けながら画廊巡りを続け、日本に美術館を建て、本物のタブロー(絵)を見ることのできない人たちに見せるのだという心意気で絵を買っていました。

ちなみに本の中で初めて彼が初めて買った絵というのがこれです。


フランク・ブラングィンの≪造船≫。
ブラングィンは松方と親しくなり、彼の肖像画(↑)も描いていますし、絵画購入のアドバイザーでもありました。

その絵の中で日本に届いたもの(約1000点以上)は、1927年の世界恐慌の後、負債整理のために売りに出され、ロンドンに保管されていたものは火災で焼失し(約900点)、ロダン美術館に預けていたもの(約400点)は戦後フランス政府により押収されてしまいます。
今ある松方コレクションのほとんどはこのフランス政府に押収されていた絵の一部です。
というのも、390点にも上る絵のうち20点は重要作品なのでフランス国外へ持ち出すべからずということで、日本に返還(寄贈?)されなかったのです。
その中の一枚はゴッホの描いた≪アルルの寝室≫です。


今はオルセー美術館にあるそうです。
「松方コレクション」展に展示されているそうです。

物語はパリで松方に付いて画廊巡りをした男性の目から見た松方の人となりと、フランスに残された絵はどうやって守られ、フランスから寄贈返還したのかを描いています。
作品としては、初期のアート小説ほどではないですが、「松方コレクション」を知るという意味で読んでみてもいいと思います。


<昨夜のわんこ>


もう小屋が寝床になってしまいました。
三カ所ある寝床を一日のサイクルで使っています。
ママにかまわれたくない時はクレードルの中で寝て、仕事に行くママの行動を見張る時は一番見えるベッドにいて、それ以外の時は小屋の上に寝ています。

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