凪良ゆう 『神さまのビオトープ』2020/05/01

昨日はイギリスのキャプテン・トムの誕生日でした。
誕生日までに約40億の寄付金を集め、名誉大佐の称号を与えられたそうです。
バースデーカードも14万通だとか。みんなに愛されていますね。
私は手を洗いながら、ハッピーバースデーを歌わせていただきました。



『流浪の月』で本屋大賞を受賞した凪良さんの本を読んでみました。

うる波は美術の非常勤講師をしながら、事故死した夫の幽霊の鹿野くんと暮らしています。
周りに言うと夫を亡くした悲しみから狂ったのかと誤解されるので、言わないようにしています。
彼女にとって幽霊であっても夫と一緒にいるということは心休まることですが、他の誰もそのことを理解してくれません。
叔母なんか再婚させようとお見合い写真を持ってくるんですよ。

うる波は大学の後輩の恋人同士やロボットの友人を持つ少年、小さな少女しか愛せない青年、夫婦にしか見えない兄妹など、「普通」ではないと世間がレッテルを貼りそうな人たちと出会い、親しくなっていきます。
社会の片隅で密かに暮らしている彼らにとって幸せとは何なのでしょうか。

「わたしは幸せだけど、この幸せは理解されにくい形をしている。多くの人たちは異質なものを受け入れないし、幸せすら定型にはめたがる」
「あなたのためにという言葉は頑固で、真面目で、自らの信念にみつすぎていて始末に困る」
「もともと幸福にも不幸にも、決まった形などないのだから」

『流浪の月』に通じる小説です。
他人の幸せは他の人にはわからない。
「普通」がみんなの「普通」ではないし、誰かの常識が他の人にも当てはまるとは限らない。
秘密のない人もいない。
今までの生活ができなくなった今、読んでみるといいかも。