有川ひろ 『イマジン?』2020/06/14



歌舞伎町でチラシ配りのバイトをやっていた良井良助は、知り合いの佐々に誘われ映像制作の現場でバイトをすることになります。
実は良助は幼い頃、『ゴジラvsスペースゴジラ』を見て感動し、映画を作る人になりたいと思い、福岡の映像専門学校で学び、東京の小さな映像会社に内定をもらっていたのです。
しかし、初出社で会社に行ってみると、会社はもぬけの殻。
計画倒産で良助は欺されていたのです。
それから映像会社に面接に行くたびに、あんな会社にいた奴は絶対に雇わないと相手にされず、バイトでほそぼそと暮らしていたのです。
バイト先の会社は『殿浦イマジン』といい、『天翔ける広報室』という日曜夜九時の連続ドラマの現場で働けることになったのです。
良助にとって現場で働くことは初めてのことですから、即戦力にはなれません。
とにかく現場に何が必要か「必死で知恵を絞って想像し」、体を動かすのみ。
良助の頑張りが社長の殿浦に届き、『殿浦イマジン』で正社員として雇ってくれることになります。
現場では様々な出来事が起こり、ピンチになったり、互いに助け合ったり、そしてふと自分の未来を思ったり・・・。
良助、どう成長していくのか。

映像制作のお仕事本です。
登場人物たちがみんなキャラがたっており生き生きとしています。
『空飛ぶ広報室』に出てきた人が登場しているのかな?(誰が出ているのか忘れちゃったけど)
他にも『図書館戦争』や『植物図鑑』を彷彿させる場面が出てきます。
久々に読む有川さんは流石面白いです。
そういえば『シアター!』の続編はどうなったのかしら?

この前、東京上空をブルーインパルスが飛びましたね。
ブルーインパルスにちなんだ自衛隊好きの有川さんならではの蘊蓄を紹介しましょう。(86ページ)
ブルーインパルスは東日本大震災で津波の被害を受けた航空自衛隊松島基地が本拠地なのだそうです。
震災の時はたまたま九州新幹線開通イベント飛行のために芦屋に出張中で被害を免れ、松島に帰還したのは震災から二年後だったそうです。
ニュースで報道されたのでしょうが、全く記憶にございません(恥)。
震災で被害を受けていたら、東京上空を飛ぶことがなかったかもしれませんね。
そう思うと感慨深いです。

有川さんファンの方も映像制作会社を狙っている方もそうじゃない方も、一気に読める楽しい本です。