和田はつ子 『伊勢海老恋し 料理人季蔵捕物控』2020/06/28



日本橋、一善飯屋「塩梅屋」の主の季蔵は嘉月屋嘉助から金箔が届いたので、元許嫁の瑠璃に金箔を散らした錦玉羹を作ってもっていきましたが、錦玉羹を見て瑠璃は何故か苦悶の呻きをあげました。
瑠璃には凶事を感じられるという不思議な力がありましたから季蔵はもしやと思っていると、その帰り道に何者かに襲われました。

その頃市中には伊勢のおかげ参りの騙りをする輩が現れていました。
季蔵は北町奉行の烏谷から伊勢参り熱に便乗し、一儲けして普請に回したいので、天下一品の伊勢参り御前を作るように命じられます。
この前の瑠璃の様子を聞いた烏谷は、季蔵にことわりもなく、瑠璃が作った紙花を季節寄せの元締めに売っており、根を詰めすぎたのではないかと言います。
悪く思った烏谷は瑠璃を休ませるために烏谷の内妻・お涼と一緒に箱根へ湯治に行かせます。
季蔵は箱根での瑠璃の様子が知りたく手紙にも書いたのですが、お奉行からの返事には瑠璃のことは一言も触れていません。
そのため烏谷に不満や不安をぶちまけにお涼の家に行くと、奉行は留守で漬物屋のおしんの沢庵が勝手口に置いてあり、沢庵とは違う臭いが漂っていました。
臭いを辿り裏庭に行くと、初老の男の骸があり、季蔵が調べていると、烏谷が現れました。
烏谷曰く、この男は瑠璃の紙花をあつかっていた季節寄せの元締。
彼は季蔵が命を狙われたことと関係しているのでしょうか。
季蔵は烏谷の命を受け、調べ始めます。

出てくる事件がいつも生臭いものなので、読み進めるうちに美味しそうな料理がそれほどでもないように思えてきます。
死体を扱った手で料理を作るなんて、想像するだけで嫌ですわぁ。
最後は瑠璃と幸せになってもらいたいのですが、この分でいくと誰かが死ぬまで同じような感じでいくような気がしてきましたわ。

お口直しに。


珍しく近寄っている犬たち。
兄は嫌そうにチラッと弟を見ます。


媚びを売っている弟を見る兄。
「おい、お前、何やってんだよ。かわい子ぶっちゃって」と言っているみたいです。

二匹と一緒にソファに座っていると、弟が兄を押しのけて膝にのってきます。
兄はいじけてふせをします。
二歳まで一匹だったので、未だに弟がいることに慣れていない兄です。