馳星周 『少年と犬』2020/07/19

図書館に村上春樹の新刊『一人称単数』文藝春秋社をリクエストしたら、予約画面ではアップダイクの『一人称単数』新潮社になっていました。
アレ?村上春樹の久々の短編集で話題になっているのですが・・・?


第163回直木三十五賞受賞作品。
一般に直木賞と言われていますが、正式名称は直木三十五賞なのです。
ちなみに芥川賞は芥川龍之介賞です。
私はこの年になるまで正式名称を知りませんでした(恥)。

シェパードと和犬の血が混じっている犬が駐車場にいました。
中垣和正はその犬のことが気になり、飼い主が見つからないと保健所に連れられていくことを聞き、自分で飼うことにします。
首輪のタグから犬は多聞という名であることがわかります。
多聞を認知症の母親に会わせると、母は多聞をカイトと呼びかけ、一緒に散歩にまで出かけました。
多聞は賢い犬で、和正は彼を守り神だと思うまでになります。
しかし、気づくと多聞はいつも南の方角に顔を向けています。
南の方になにかあるのか?
震災で職を失った和正は母と姉のために犯罪に手を染めていきます。
多聞はそんな和正のことを知ってか知らずか、すぐには南に行かずに和正のそばにいますが・・・。

それから多聞は様々な人たちに拾われます。
スラム育ちの強盗、男を殺した風俗嬢、心が離れた夫婦、末期癌の老人、そして震災で声を失った少年・・・。
釜石から熊本まで。
震災で飼い主を失った彼が目指すのはどこなのか。

犬は人間と一番近いペットかもしれませんね。
心が通いそうと思える何かがありますもの。
でも、多聞は守り神というよりも、死に神、は言い過ぎか、災いを招くもののような気がします。
だってねぇ・・・。(本を読むとわかります)
馳さんがハードボイルド作家だからかもしれませんが。

うちの犬たちはおバカなので、多聞のようにはなれませんわ。


「ママ、何か?僕たちは美味しいご飯をくれる人に着いていきます」

残念ながら読んでも感動はしませんでした。
私の読書傾向と賞とは合わないようです(笑)。