中山七里 『テロリストの家』2020/09/14

全米オープンテニスで、大阪なおみさんが優勝しましたが、車いすの部でも日本勢が活躍してくれました。
女子シングルスでは上地結衣さんが準優勝、彼女はダブルスで優勝、男子シングルスでは国枝慎吾さんが優勝しました。
国枝さんは四大大会優勝回数が24回という、素晴らしい選手です。
高校の英語教科書「LANDMARK 2」や道徳の教科書にも彼のことが載っているそうです。
おめでとうございます。

中山七里デビュー10周年記念12ヶ月連続新作企画、第8弾。


警視庁公安部のエリート刑事・幣原勇一郎は国際テロを担当していました。
イスラム国関連の容疑者の張り込みをしていましたが、ある日、急に担当を外され、新米のするような内勤の仕事をあてがわれます。
何故なのか?誰も理由を教えてくれません。
入庁以来公安畑を歩いてきましたし、能力は高く評価されていると自負していました。
それなのに・・・。
その上、同僚の高頭に尾行されているのに気づきます。
いったい自分の周りで何が起きているのか?

しばらくして、大学院生の息子の秀樹が私戦予備及び陰謀罪容疑で逮捕されます。
彼がイスラム国の兵士募集に応募していたというのです。
仕事を優先したばかりに、家族のことを全く知らなかったことに愕然とする幣原でした。

この日を境に、幣原の生活はガラッと変わりました。
幣原(しではら)という珍しい名前のため、人物の特定は難しくありません。
すぐに家族が警視庁官舎に住んでいることが広まり、官舎の前にはマスコミが待機し、野次馬やsnsで罵詈雑言を浴びせられます。
娘の可奈絵は高校でいじめに遭っているようなので、祖母の家に非難させることにします。

幣原は公安に人生全てをかけてきた自分とは何だったのかと自問します。
「公安部の刑事としては有能だったが、父親としては凡庸」
それが自分だったのか・・・。

間もなく、秀樹は釈放され、幣原は通常業務に戻れますが、家には盗撮・盗聴器が仕掛けられており、家族は監視されていました。
それに気づいた幣原は、家族を護るため、自分が秀樹の監視役になると申し出ます。
しかし、幣原の監視に気づいた秀樹は、父親がお風呂に入っている間に家を抜け出し、何者かに殺害されてしまいます。

公安部と刑事部の両方から事情聴取を受けた幣原は、息子の無念を晴らすため、ある戦術を使い犯人を捜すことにします。
幣原お父さん、頑張ります!

一課の刑事もエリート意識プンプンだと思ったけど、公安はそれ以上なのね。
社会の安全と平和のために働いてくれていることはわかるけれど、できるだけお会いしたくない人種ですね(笑)。

最期のドンデン返しにビックリ。そうくるかぁ。
でもねぇ、理由が可哀想だけど短絡的だよねぇ・・・。
お勧めではありませんが、読みやすい内容で、それなりに楽しめる本です。

「テロリストの家」で検索していると、こんな記事見つけました。
2016年に英国ランカスシャーに住むイスラム教徒の10歳の子が、「僕はテロリストの家に住んでいます」と書いたので、学校が警察に通報し、警察に聴取をされたそうです。
彼は綴りを間違え、「terrorist house」と書いたんだけど、本当は 「terraced house」と書きたかったんだとか。
テロに警戒しているのはわかりますけど、子供がこう書いたら先生、おかしいと思って確かめないのかしら?

今月の六花亭のおやつです。


下にもお菓子が入っています。
夫は六花亭のお菓子が好きで、すぐになくなってしまいます。
何と言っても、マルセイバターサンドが大好きです。