西條奈加 『心淋し川』2020/09/26



「心」は「うら」と読みます。
江戸の千駄木町の一角は心町(うらまち)と呼ばれ、「心淋し川」という淀んだ川が流れています。
その川のどん詰まりに古びた長屋があり、そこに暮らす訳ありの人々の人生のお話、6つ。

「心淋し川」
酒飲みの父親と愚痴ばかり言っている母親が嫌で、絶対に心町から出てやると思い続けるちほ。
彼女は針仕事をして家計を支えていますが、仕事を与えてくれる志野屋で上絵師と出会います。
彼と一緒になれたらと思いますが、彼の気持ちははっきりしません。

「閨仏」
長屋で四人の妾を囲っていた六兵衛が亡くなり、行き場のなくなった妾たち。
一番年上のりきはある品物を売り物にし、みんなで一緒に暮らしていくことにします。

「はじめましょ」
飯屋を営む与吾蔵は根津権現で唄を唄っている女の子と出会います。
その唄は、昔捨てた女が唄っていた唄と同じものでした。
気になった与吾蔵は根津権現に何度も女の子に会いにいき、彼女と親しくなります。

「冬虫夏草」
歩くことも立つこともできない息子の世話を甲斐甲斐しくする母。
「子供のためと口にする親ほど、存外、子供のことなぞ考えてないのかもしれないな」
今にも通じる、怖い(?)お話です。

「明けぬ里」
元遊女のようは子供ができたのを亭主の桐八に言えずにいました。
桐八は賭場で金を使う穀潰し。子供が自分と同じ運命にならないかと思うと、子供を産むのを躊躇してしまうのです。
そんな頃、岡場所で一緒だった元花魁の明里と再会します。

「灰の男」
長屋の差配の茂十は息子の敵を取るために、身分を偽って長屋の差配になっていました。
彼はある男を長年見張っていたのです。
ある雪の日、待ちあぐねた好機がやってきます。

最後のお話がいいです。
何故、侍だった茂十が、こんなうらぶれた長屋の差配になったのか。
楡爺との因縁の最後が悲しいけれど、いい終わり方です。
どんなに不遇の人生でも、生き直す場があるということはいいですね。


デパートに行けないので、ネットで色々と注文しています。


バラの紅茶とジャムを買いました。
紅茶の缶の模様が素敵です。
またスコーンを作って、紅茶とジャムで食べようかしら。
クロテッドクリームがないのが残念です。
生クリームでクロテッドクリーム「風」が作れるらしいですが、脂肪分の高いものがいいそうです。カロリーが高くなるので、なくてもよさそう。
しばらくヨーグルトで我慢しますわ。

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