中山七里 『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵 2』2020/10/27

中山七里12月連続刊行の10月の本です。
連続刊行も残るは二ヶ月。来年のことを言うとと鬼に笑われますが、来年は何冊発行されるのかしら?


静おばあちゃんこと、高遠寺静は女性で20番目の女性判事で法曹界のレジェンド。現在は退官していますが、今度和光市にある司法研究所の教官に招聘されました。健康診断が必要ということで、指定された練馬中央病院に行くことになります。
なにか嫌な予感がしていたら、病院に静が名古屋を離れる原因となった野蛮人がいるではありませんか。
野蛮人とは車椅子に乗った香月玄太郎のことです。
彼は中部経済界の重鎮にして、暴走老人。傍若無人や唯我独尊という言葉は彼のためにあるようなものです。
彼は大腸癌になり、練馬中央病院に名医がいるということで、わざわざ嫌いな東京までやってきたというのです。

二人がそろえば、事件が起こるのがお約束。
一つ目の事件は、玄太郎を診るはずの名医が担当した患者が術後急変して亡くなりました。投与されたのは栄養剤のはずなのに、点滴バックには麻酔薬が入っていたというのです。一体誰がバックをすり変えたのか。
成り行きで静と玄太郎が警察の要請を受け、事件を解決していきます。

二つ目の事件は、介護士のみち子から頼まれ、静がみち子不在の時に玄太郎の様子を見ることになった後に起こります。
その頃、構造計算書偽造問題が巷を賑わしており、証人である鳴川秀実が殺されたのです。
玄太郎の知り合いの日建連の汀和がやって来て、静に捜査の進捗を探って欲しいとお願いしてきます。
静たちはまた事件に関わることになります。

三つ目の事件は、元警察官の70歳の老人が車を暴走させ、コンビニに突っ込み、本人は死亡、コンビニの客が重軽傷を負ったというものです。
その元警察官の部下だった砺波に頼まれ、調査することになります。

四つ目は、静の元同僚の多嶋俊作の不自然な死です。
葬儀で違和感を感じた静は玄太郎の知恵を借り、時間稼ぎをして多嶋を司法解剖に回し、死因が熱中症ではなく、覚醒剤投与により意識不明になり脱水状態に襲われて亡くなったことがわかります。

五つ目は、静の一人娘夫婦が交通事故で亡くなり、孫娘を引き取るために研修所の教官を退任した後に起こります。
玄太郎はがん摘出手術を無事に終え、そろそろ退院するという時でした。
多嶋と同様、以前の同僚だった牧瀬が殺されたのです。静は捜査協力を求められます。その後、犯人は逮捕されたのですが、変な電話がきて、多嶋と牧瀬の事件につながりがあったのがわかります。
次に狙われるのは自分であると悟った静のところに、以前事件で関わった刑事の久留米と砺波が現れ、独自に調査をすると言ってくれます。
たまたま同じ日に別れを告げに来た玄太郎もひっかかることがあったと言い出し、ある人物に二人は会いにいくことになります。

日本の警察が二人の老人に負けてます(笑)。情けないですね。
五つ目の事件で二人の刑事に活躍してほしかったです。
二人の掛け合い漫才みたいな感じが面白く、現代の社会問題も取り上げられていますが、他の作品ほどわくわく感はなかったです。


<今日のわんこ>


バーゲンで買ったハウスは小さめでしたが、兄は気に入ったようで、すぐに中に入ってくつろいでいます。