M.C.Beaton 『Agatha Raisin: Pushing Up Daisies』2020/12/08

アガサ・レーズン・シリーズの27作目。アガサの勘も今度は役に立たないか?
また素敵な表紙を載せておきます。


「Pushing up daisies」は「死んで埋められて」という意味があるそうです。
daisy(ヒナギク)ってイギリスではお墓に咲いているのかしら?

今回、ミセス・ブロクスビーはイメージチェンジをします。
髪型も服装も変えてメイクもして素敵になっています。そういえば彼女って何歳?
アガサよりも若いことは確かで、40代かと思っていたのですが、DVDで見た感じでは30代という感じです。前回では殺されたセラピストに子どもができないことを揶揄されていましたから、意外と若いのかもしれませんね。
このイメージチェンジにはもちろん男が関係しています。
Gerald Devereという元スコットランドヤードの刑事で、50代のイケメン。
アガサも狙っていますが、チャールズにしっかりと釘を刺されましたし、アガサが彼の家を覗いているのを見とがめられ、彼とは微妙な感じです。
彼はミセス・ブロクスビーに女性とキスしているのを見られ、評判を落とし、アガサの探偵事務所で働きだしたのに警察に引き抜かれ、途中で退場してしまいました。そのためミセス・ブロクスビーの淡い恋心はあえなく駄目になってしまいますが、その代わりにあのいけ好かない旦那が優しくなったので、Geraldもそれなりに役割を果たしたということです、笑。

アガサはミセス・ブロクスビーから市民農園に関する相談を受けます。
市民農園は昔はトラストが管理していましたが、今はLord Bellingtonの私有地で、彼は自分の土地を売って住宅地にしようとしています。
アガサはたまたまやってきたチャールズと彼に会いに行きますが、軽くあしらわれてしまいます。アガサの後に話しに行ったGeraldも相手にされませんでした。
その夜、Lord Bellingtonは亡くなってしまいます。
大分経ってからアガサは彼の死を様子を聞き、antifreeze(不凍液)による毒殺ではないかと思います。彼女の推測を聞いたGeraldは息子の許可を得て遺体を検死し、アガサの推測が正しいことが判明します。

その次の週にBellingtonの息子のDamianがやって来て、警察が当てにならないので、アガサに誰が父親を殺したのか突き止めて欲しいと依頼してきます。
喜んで引き受けますが、Bellingtonの息子も娘のAndreaも、その母親も役に立ちません。調査を頼んでいるのにも関わらずまともに話しができないのです。
AndreaはDamianが父親を殺したというし、なんとも奇妙な家族です。

アガサたちはBellingtonに関わりのある人たちに話しを聞いて回りますが、すべて空振り。
死体が増えていくばかり。
この頃のアガサ・シリーズは殺人が多すぎですねぇ。
今回はアガサが命を狙われないだけマシです。

アガサのロマンスはGeraldがパーになったので、もうないかと思ったら、なんとまぁ、とんでもない奴とやっちゃいました。
たまたま話しを聞きに行った"You Would, Wood You?”という変な名前の家具店で店番をしていた若者、Jake Lisleの面倒をみちゃうんです。
彼は20代(たぶん)の仕事が長続きしない今時の男の子。とりえは顔が美形だというぐらい。アガサの探偵事務所で働くことになりましたが、何故か運がよくて、事件解決の突破口になります。
アガサのことをセクシーだと思って手を出したくせに、トニにも色目を使うのがむかつきます。年上のアガサは一時の相手と割り切っていて、次の日には都合よく忘れてます。アガサはチャールズにどう思われるかと悩んじゃっているのに。
最終的にアガサは無理矢理何もなかったことにしちゃいますけど、笑。

いけすかないサイモンは、アガサの親友で警察官のビルが密かに思いを寄せている同僚警察官のアリスにつきまといます。
ビルの母親のとんでもない行為のせいで、さすがのビルも激怒し、実家を出て、アリスのアパートの近くに部屋を借りました。
ビルはこのシリーズの登場人物の中で一番常識のあるいい人なので、幸せになってもらいたいです。

ビル以外の若者、特に男性は変な奴ばかりですが、探偵事務所の老人たち、フィルとパトリックは温厚で思慮深く、アガサを大事に思ってくれていて、ありがたい存在です。
トニも今回は年上男に引っかからず、アガサのために働いてくれています。
事件はすっきりいかない幕切れでしたが、これから頼りになるのは、この3人ですね。

さて、チャールズとアガサの関係は進展無し。
アガサがチャールズのことを当てにならない、ただの友だちだと思おうとしているのですけど、どうなるでしょうか。
チャールズはアガサのことが好きなのに、お屋敷のことを考えてお金持ちの女と結婚しようとするのがいけませんわ。
最後に二人でマデイラ島に行ったのに、そのお金の出所を隠していたのは彼の失点です。アガサが知ってしまいましたもの。
これでは上手くいかないわよね、笑。

後四冊。
今年中にもう1冊は読みたいものです。

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