大崎梢 『夏のくじら』2020/12/17

南国土佐・高知「よさこい祭り」って知っていますか?
私はテレビのニュースなんかで映っているのをチラッと見ただけでしたが、大規模な祭りなのですね。
YOSAKOIソーラン祭りみたいなものかと思っていたら、すみません、よさこい祭りをルーツに作られたのがソーラン祭りなのですね。


よさこい祭りと青春を描いた小説です。

篤史は東京から高知大学に入学するため、父親の郷里の高知にやってきました。
どうしてわざわざ高知の大学にと誰もが不思議に思います。
実は初恋の人を探すためだったのです。

夏休みになると父母が共働きだったため、篤史はほぼ毎年祖父母の家に預けられていました。
四年前の夏、従兄弟の多郎に誘われ、「よさこい祭り」に参加しました。はっきりと返事をしていなかったのに、いつのまにか参加ということになっていたのです。
七月になって高知に行き、全体練習に初めて参加して振り付けのむずかしさに戸惑い、自分の体力に不安を覚えていました。
そういう時に篤史に話しかけてくれた女(ひと)がいたのです。

「よさこい祭り」は一生に一度の挑戦、ひと夏の脱線、若気の至り・・・だったのに、多郎がまた誘ってきました。
しばらく途切れていた町内会チームの、それもスタッフとして加わらないかというのです。
前と同じようにはっきりと返事をしなかったので、強引にスタッフの打ち合わせに誘われます。行ってみると、チームの専用サイトを作るように依頼され、面倒なので断ろうと思ったところに、四年前の写真を持っているかもしれないという人が現れ、写真を見せてくれることになります。
その人の家で写真を食い入るように見ていたため、不審に思われ、篤史の企みはバレてしまい、スタッフをやっている方が人捜しには有利だという言葉に乗せられ、それからの篤史の日常は「よさこい祭り」一色にってしまいました。

さて、無事に彼女に会えたのでしょうか?

読んでいて、初恋の人はどうでもよくなりました。
よさこい祭りってこんなにも熱い祭りだったのですね。
学校の文化祭の何倍も手がかかるけど、やり遂げた時には何十倍もの感動が押し寄せてくるのでしょうね。
よさこいの魅力にはまりました。

今年は開催できなかったけど、来年、できるといいですね。
四国は香川県以外に行ったことがないので、いつ行けるのかわかりませんが、よさこい祭りと阿波踊り、両方見られる時に行きたいです。

お勧めの本です。