「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」を観る2021/01/03

深夜、あの「ソーイング・ビー」がやっているではないですか。
私の観ていないシーズン3です。(日本では何故か「ソーイング・ビー2」となっています)
審査員パトリックの口ひげ姿が見られました。その上、スカート、間違った、キルト姿が拝めました。(彼、モデルもやっているのかしら?)
今回は男性が活躍しています。よく考えてみると、テーラーはほぼ男性ですものね。裁縫ができるかどうかに男女はないわよね。
見ていて気になったのは、向こうの人は裏地がなくても気にしないのかしら?
キルトは裏地をつけないと番組で言っていましたが、もともとノーパンではくんでしょう。チクチクして痛いわよね・・・。



昨年、ポルーニンのドキュメンタリー映画を観ました。
よくバレエを観に行っていた頃(2012年ごろ)、ロイヤルバレエ団が来日するので、ポルーニンが観られるのではと期待していたら、あっさりと退団してしまいました。あれからどうしているのかな・・・とは思っていましたが、お元気そうで何よりです。

ポルーニンは1989年ウクライナ南部のヘルソンで生まれました。
生まれつき股関節が柔らかかったので、最初は体操をやっていましたが、母親の指示によりバレエをすることになります。
9歳でキエフ国立バレエ学校に行きます。学費が高いので、父親はポルトガルに出稼ぎに行き、庭師として働きます。母方の祖母はギリシャで老婦人の介護の仕事をします。母親はキエフに息子と共に行き、すべてを息子に捧げます。母親にとって彼が希望だったのですが、彼にとってそれは重荷でした。
後に彼は「自分には子ども時代がなかった。いつも怪我をしたいと願っていた。そうすればバレエを止められるから」と言っています。
11歳の時には学年トップ、13歳でロイヤルバレエ学校のオーディションを受け、合格。一人でイギリスに渡ります。
人の2倍のレッスンを受け、居残りして稽古をしていました。踊るのがうまかったため、3年飛び級しました。
2006年ローザンヌ国際バレエコンクールで金賞を取ります。

順当に行っているようですが、彼の心はすさんでいました。
イギリスに留学して一年後に両親が離婚をしてしまったのです。
「バレエで家族を一つにできると思っていたのに、できなかった。二度と誰かを大切に思わないと決めた。思い出も作らない。それ以来、何年も泣いていない」
そう言う彼は15歳の時にはタバコを吸い、酒を飲んでいたといいます。

2008年ロイヤルバレエ団に入団し、1年で第一ソリスト、2010年に19歳でプリンシパルになります。
ロイヤルバレエ団時代には一度も両親に自分の踊るところを見せていません。
周りからのプレッシャーに潰されまいとしているのか、タトゥーをし、レッスンをサボり、パーティに出てはコカインを吸い・・・。
舞台に出る前は薬漬けです。心臓の薬や鎮痛剤、栄養ドリンクを飲み、ハイになって踊ったのも忘れるぐらいだったそうです。
心も身体も悲鳴をあげていたのですね。

2012年、22歳。突然の退団発表。
アメリカで踊りたかったのですが、アメリカのどのバレエ団も彼を受け入れてはくれませんでした。急に辞められちゃ困るものね。
そのためロシアに戻ります。しかしロシアでは大スター扱いはされず、テレビ番組「ビッグ・バレエ」に出て自分を売り込むしかありませんでした。
イーゴリ・ゼレンスキーのアドバイスでモスクワ音楽劇場バレエにゲストとして参加し、一から出直すことにします。(ゼレンスキーを父のように慕っています)
しかしそれでもなかなか自分を変えることができません。
2年ぐらいは新鮮な経験だったのですが、だんだんと自分を囚人のように感じ、強制されるのが我慢ならなくなっていったのです。
彼はバレエ団のような組織に属せない人なのですね。
彼にとって踊ることは自分から選んだのではなく、母親から強制され、やらされたものという意識しかなく、苦痛でしかなかったのです。

2015年、引退すると決め、ロイヤルバレエ団の時の友人に振り付けを頼み、アイルランド出身の歌手ホージアの”Take Me To Church"の動画をハワイで撮ります。
この時に初めて彼は自分の踊ることの意味を見いだしたのでしょう。
この経験で吹っ切れたのか、二ヶ月後、両親と祖母を自分の公演に初めて招待し、ジェローム・ロビンスの振り付けを踊ります。
2017年には映画「オリエント急行殺人事件」で俳優デビュー。
色々なことにチャレンジして、自分の進む道を、今度は自分で選んでいっているようです。
最後の場面の彼は髪をバッサリ切り、まるで修行僧。

ポルーニンはまだ31歳。
これからどういう道を歩んでいくのか、楽しみと言いたいところですが、精神的に不安定っぽい感じの人なので、ちょっと心配ですね。
ダンサーというのではなく、アーティストとして活動していくそうです。
彼の舞台をいつか観にいきたいです。それまでちゃんと生きててくださいね。

コメント

_ ろき ― 2021/01/04 19時49分39秒

ポルーニン、生い立ちとか気の毒ですよね。ロンドンで生で見たことありますが、オーラがあって本当に美しかった。でも本人は内心辛かったんだ……。
今後もハラハラしながら見守りたいです。

遅レスですが、わんこの袴、最高に可愛いですね!

_ coco ― 2021/01/05 14時46分54秒

え、ポルーニン観たの。羨ましです。ロイヤルバレエの頃は薬でハイになって踊ってたらしいです。
バレエって身体を削って踊っているみたいですものね。生活のすべてが修行みたいなもんです。
絶対私はダンサーになれないわ。運動するより座っている方が好きですもの、笑。

弟用の袴を兄よりも1サイズ落として買ったら、小さかった。無理矢理着せようかどうか考え中です。

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