リース・ボウエン 『巡査さん、事件ですよ』2021/01/06

英国王妃の事件ファイル・シリーズを書いているボウエンの別のシリーズです。
雄大な自然の広がるイギリス、ウエールズ地方にある、険しいスノードン山の麓の村のお話です。


エヴァン・エヴァンズはスランフェア村の巡査です。
実は彼はスウォンジーで刑事の訓練を受けていましたが、都会の暮らしが嫌になり村の仕事を選んだのです。
エヴァンは長身でラグビーのフォワードのようなたくましい体つきで、ケルト人らしい色白の顔をしています。すぐ顔が赤くなるのが玉に瑕。
村のミセス・ウィリアムスのところに間借りしています。
彼女はランチはいらないと何度言っても作り、大盛りにして出してくれます。どうも太らせたいみたいです。彼女はエヴァンがどんなにしずかに帰宅しても気づくという超能力があります。孫のシャロンとエヴァンを結婚させようとするのが困ります。
困ると言えば、肉感的な体で、いつも襟ぐりの大きく開いたぴったりした服を着ているパブのウエイトレス、ベッツィもエヴァンに迫ってきて困ります。
エヴァンってもてるのね。
そんなエヴァンが気になっているのが、学校の教師のブロンウェン・プライス。
彼女とは山歩きが好きだったり、話しが合ったりと、いい感じなのですが・・・。

ある日、エヴァンが教会で賛美歌を歌っていると、手招きされました。
行ってみると、<エヴェレスト・イン>の宿泊客が帰って来ないというのです。
友人と会うと言ってスノードン山を登り、夕食前に戻ると言っていたというのです。取りあえず朝まで待つことにして、パブで飲んでいると、死体が見つかったという知らせが来ます。
翌朝、エヴァンズは北ウェールズ警察のワトキンス巡査部長と死体を捜査しに山を登ります。ワトキンスは死体を見てすぐに事故死と見なします。
どうも彼は11歳の少女の殺人事件に集中したいがために、事故死として扱いたいようです。
ところがカメラを持ってやって来た若い警察官が、死体の写真を撮ってきたと言ったため、別の死体の存在が明らかになります。
なんと死体が二つ。
ワトキンスは不運な二件の事故と見なしますが、エヴァンにはそうは思えません。
二つの死体にはなにかつながりがあるはずだと思えるのです。

死体の身元を確認すると、一人はロンドンの警察官、もう一人はリバプールから来た盗難警報器のセールスマンでした。
一体二人の間にはどんな関係があるのでしょうか。
家族から話しを聞くと、二人には軍に入っていたという共通点がありました。
エヴァンズはワトキンスの許しを得て、二人の軍歴を調べてみることにします。

二つの殺人事件で忙しいというのに、村の牧師の妻、ミセス・パウエル=ジョーンズがエヴァンズにすぐ来るようにと言ってきます。
彼女はどんな事件よりも自分のところで起こった事を優先すべきであると思っているようです。彼女には高い地位にいる友人が大勢いるので、仕方なく呼び出しに応じているエヴァンです。
今回もトマトの苗を何者かが踏みつけた、パイが盗まれた、花壇に大きな足跡をみつけた等のくだらないことで呼びつけられました。犯人は村にもう一つある教会の牧師の妻、ミセス・パリー・デイヴィスだというのです。彼女を問いただせとまで言われ、困るエヴァンズでした。

いつものようにパブで飲んでいると、ニュースで村の事件のことを取り上げていました。その時、チャーリー・ホプキンスが前にテレビ局が村にやってきたことを思い出します。エヴァンは今度の事件と繋がりがあるのではないかと思い、詳しく聞いていきます。
それは山で軍がサバイバル訓練をし、凍死した人がいたという事故でした。
これが亡くなった二人と何らかの繋がりがあるのではと閃くエヴァンズ。

ヒューズ警部補に犯罪捜査は訓練を積んだ人間に任せるから自分の仕事に戻り給えと言われましたが、エヴァンズはワトキンスの助けを借りながら、独自に捜査を続けていきます。

ウエールズ地方って美しい景色や古城、ケルト文化で知られていますね。
今でも妖精やドラゴンなどが出てきそうな感じです。
アーサー王伝説もウエールズでしたっけ?
スノードン鉄道やナローボートにもいつか乗りたいです。

英国王妃の事件ファイル・シリーズと違って、のどかなウエールズ地方の様子が面白いシリーズになりそうです。
英語で読んでも簡単そうなのですが、翻訳が早くて、もう5冊目が出版されるようです。10巻まで出版されているので、アガサが終わったら6巻目から読んでみようかしら。翻訳の方が早いかな?迷います。

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