リース・ボウエン 『巡査さん、フランスへ行く?』&『巡査さんを惑わず映画』2021/01/11

このシリーズ、「英国ひつじの村」シリーズと名付けられておりました。


平和な村にこの頃流行っているのは、放火です。
最初の放火は、ロードリじいさんがイングランド人に売ったひつじ飼いの古いコテージでした。イングランド人が何時間も前に帰っていたので、コテージが全焼しただけでした。
次の放火は美しい山の景観を壊していると村で評判のホテル、<エヴェレスト・イン>の物置小屋でした。物置小屋ですから、たいした被害がなく消火できました。
しかし、2件共に灯油と導火線が使われていました。
どちらもよそ者の所有物です。国粋主義者の過激派グループが関係しているのか?
ワトキンス巡査部長は相変わらずでしたが、「”ここにはおまえの居場所はない”」と書かれた紙を見つけたため、巡査部長のビーター・ポッターという放火捜査の専門家がやってくることになります。
彼は鼻持ちならない男で、エヴァンも辟易します。

この頃、スランフェアからほんの数キロ先のエビニーザ礼拝堂に、フランス料理店<シェ・イヴェット>ができました。マダム・イヴェットはサセックスの海岸沿いで夫と二人でレストランをしていましたが、夫が死んだので、ここにやってきたということです。
フランス料理教室も開催するようで、村の女性たちが参加するようです。もちろん大家のミセス・ウィリアムスと教師のブロンウェンも参加します。
エヴァンはマダム・イヴェットに脅迫状が来たということで呼び出されます。
呼び出しついで(?)に夜のお誘いがあって、エヴァン、もてますね。
彼女のせいでブロンウェンとの仲もこれまでか・・・と思えることもありましたが、何とか誤解も解け、一緒に<シェ・イヴェット>にフランス料理を食べに行くことができました。
しかし、エヴァンたちが食事をした夜に、<シェ・イヴェット>が火事になり、マダム・イヴェットは九死に一生を得ました。
前の2件の放火と今回の放火には違いがありました。
2件は人がいない建物を選んでいましたが、今回は人がいました。何か個人的な恨みがあるのかもしれません。

今回もエヴァンはワトキンスの命を受けて捜査に乗り出します。
エヴァンは巡査なので、本当は捜査に参加できないのですけどね、笑。
捜査の過程でマダム・イヴェットのことでフランスまで行きますが、可哀想なことに、観光は全くできなかったみたいです。


今回は付き合い始めた教師のヴロンウェイの過去が明らかになります。

村に撮影チームがやってきます。
監督のハワード・バウアーと映像プロデューサーのグラントリー・スミス、飛行機専門家のエドワード・フェラーズ、そして映像制作助手のサンディ・ジョンソンの4人で、<エヴェレスト・イン>に滞在するそうです。
彼らはスリン・スラダウ湖からドイツの爆撃機を引き揚げ、その様子を撮影するのです。
撮影を地元民に邪魔されたくないということで、エヴァンは野次馬を湖に近づけるなという仕事を仰せつかいます。

村人たちの話題は映画の撮影のことばかり。みんな映りたいんですねぇ、笑。
特にパブのウエイトレスのベッツィは熱心で、女優になれると思い込み、なんとか映ろうと頑張ります。エヴァンがいくら映画を撮るのではなくドキュメンタリーを撮るのだと言っても信じようとはしません。エヴァンが邪魔をしていると思い込み、珍しく彼に冷たくしたりします。

実は飛行機専門家のエドワードはブロンウェンの元夫でした。
彼らはケンブリッジ出身で、二人とも劇団に所属していたようです。
エヴァンは彼らの話を聞きながら、劣等感と嫉妬に苛まれます。

撮影チームは飛行機を撮りに来たはずなのに、プロデューサーのグラントリーが色々なことを思いつき、エヴァンは彼に振り回されます。
地元色が欲しいから、面白いことを知っている風変わりな田舎者を紹介してくれとか言うんですよ。地元民をバカにしてますねぇ。
彼は感動の再会をお膳立てしたり、戦争中にスレート鉱山に隠した絵に興味をもって、老人に話しを聞きにいったり、鉱山を見に行ったりと飛行機以外のことに興味があるようです。
ある日、グラントリーは行方知らずになってしまい、エヴァンが探しまくり、結局死んだ彼を鉱山で見つけることになります。
とにかく迷惑な奴です。

エヴァンは捜査を外されてもめげずに独自の捜査をして頑張ります。
彼の短所が見つかりました。閉所恐怖症です。前回は海峡トンネル、今回は採石場と、閉所恐怖症気味の人にとっては責め苦のような所に行かなければならず、可哀想ですわ。
他にも色々と可哀想なことがエヴァンにありますが、とにかくヴロンウェイとは上手くいって欲しいですね。

次巻が速く翻訳されますように。(アレ、英語で読むんじゃなかった?と思わないでください)