原田ひ香 『口福のレシピ』2021/01/21

西條奈加さんの『心淋し川』が直木三十五賞を受賞したそうです。
おめでとうございます。面白い江戸物をこれからも書いていってくださいね。


昭和と令和が料理を通じて重なっていきます。
まだ西洋料理が家庭で一般的ではなかった時代に、ある家で女中をしていた女性が家庭でもできる西洋料理を考えていました。

令和元年。
品川留希子は品川料理学園を経営している家の一人っ子として生まれましたが、学園を継ぐ気はまったくなく、大学卒業後はSEとして企業に勤め、今はフリーのSEとして働きながら、SNSで簡単にできるレシピを紹介しています。
フォロワーはだんだんと増えていって、そのおかげで少しずつ料理の仕事が増えてきています。
料理のレシピアプリとお買い物アプリが合体したようなものを考えましたが、企業に持っていくと頓挫してしまいました。
再度チャレンジするために、ゴールデンウィークに向けたレシピを考案中です。

そんな頃、品川料理学園の理事長、坂崎光太郎から電話がありました。
品川料理学園の会長は留希子の祖母、校長が母です。
坂崎は、学園の経営はかなり行き詰まっているので、是非とも学園に戻ってきてもらいたいと言うのです。
断る留希子でしたが・・・。

昭和二年。
品川家に女中奉公に来て半年。
山田しずえは昼餉で出したセロリーの料理法を書くように旦那様に言われ、格闘していました。
なんとか書き上げて旦那様に見せると、書き直すように言われるのです。
そのうち、旦那様に連れられて洋食屋に行き、そこで出た物を夕餉に出すように言われます。それももっと美味しくして、簡便に、誰でも作れるようにして・・・。
その中にポークジンジャーがありました。後の生姜焼きですね。
そんな中、しずえは思ってもいない、とんでもないことを奥様からお願いされます。

そういえばレシピには著作権はありませんね。
私たちが何気なく食べている物には、誰かが手を加えて美味しくしていったという歴史があります。
たまによくこういう物を食べてみようと思ったなと思う食材がありますよね。
最初に食べた人は勇気がありましたね。

留希子の作ったようなレシピアプリ、欲しいです。
この頃、毎日の献立を考えるのが苦痛になってきました。
なにしろ外食をしないで一年が経ちますもの。
テイクアウトすればいいと思うかもしれませんが、残念ながら私の住む街は小さな街で、テイクアウトのできるような美味しいお料理のお店はないのです(泣)。

本は最後がほんのりして、後味のいいものでした。
でも、『ランチ酒』が好きな私にはちょっと残念な感じでした。

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