髙田郁 『あきない世傳金と銀 十 合流篇』2021/02/20



大阪から江戸に出店した幸でしたが、呉服仲間を追われ、太物商いを始めました。
幸は職人たちと知恵を出し合い、これまでにない浴衣地の開発に挑んでいます。
藍染めの白抜きの紋様を施した反物を、「湯帷子」だけではなく、湯屋の行き帰りにも、家でのちょっとした寛ぎの時にも使ってもらえる「浴衣」にするのです。
妹の結とのこともあり、幸は密かに事を進め、一気に成し遂げることにします。

そんな頃、隣の提灯屋の三嶋屋が、来年の夏頃を目途に遠州の方に移ろうと思っているので、地続きの家屋敷を買ってはもらえないかと言ってきます。
返事は急がないというのですが…。

大阪から五鈴屋四代目の元女房・菊江と大阪本店の番頭・鉄助、女衆頭・お梅がやって来ます。
菊江は大阪を引き上げ、江戸でくらすために来ました。彼女には何やら考えがあるらしく、彼女から話すまで、何も聞くなと幸に頼みます。しばらくして、隣の三嶋屋を買い上げると言い出します。

新しい浴衣の図案はなかなか決まらず、時が過ぎていきます。
宝暦八年の元旦に雷門外の番屋から呼び出しを受けます。
行ってみると、番屋で保護した旅人がいるとのこと。それは型彫師・梅松の知り合いの誠二で、梅松を頼って郷里の白子から飛び出してきたのです。
賢輔は両国の川開きの花火を図案にしましたが、誠二の助言でなんとか図案の見通しが立ちます。

様々な人たちの助けを借り、いよいよ五鈴屋江戸本店は両国の川開きの日に狙いを定めて動き出します。

いつもは最後にとんでもない災いがやってきて、次回はどうなるのか…という展開になりますが、今回は違います。
最後はほんわかした感じで終わりますので、安心してお読み下さい。
十一巻に何があるのか・・・怖いですねぇ(笑)。