「フロリダプロジェクト 真夏の魔法」を観る2021/04/17

フロリダというと、太陽と浜辺、リゾート、ディズニーワールド…。
なかなかいいイメージがありますよね。
私のようにこの映画をディズニー・ワールドで楽しむ子どもたちの何かのプロジェクトの話かなんて思って観ると、ガッカリすることになります。
これは厳しいアメリカの現実を描いた作品です。


(ネタバレあり)
シングル・マザーのへイリーは娘の6歳のムーニーと、ディズニーワールドに近い安モーテル「マジック・キャッスル」に住んでいます。
ムーニーはそこに住んでいる2人の子どもたちといつも遊んでいますが、彼らは悪ガキそのもの。
止めてある車につばを吐きかけ、人にお金をたかってアイスを買い、モーテルの電源を落とし、プールに魚を入れ、観光客に水風船を投げつけ etc.。
モーテルの管理人のボビー(ウィレム・デフォー。とてもいい演技です)はそんな子どもたちに手を焼きながらも、優しく見守っています。

へイリーは定職につかず、安い香水をブランド香水の瓶に移し替えて、観光客に売って稼いでいます。
食事は配給や友人のアシュリーが働いているダイナーからパンケーキをもらったりしてまかなっています。
そのうち子どもたちのいたずらがだんだんとエスカレートしていき、空家を燃やして火事を起こしてしまいます。
このことに気づいたアシュリーは、児童家庭局に知られることを恐れ、子どもにムーニーと遊ぶことを禁じ、へイリーとの付き合いも止めます。
カンカンになったへイリーはアシュリーの働いているダイナーに行き、大声で悪態をつき、テーブルに座り込み、娘に何でも頼んでいいと言い、料理が届くとゲップ大会をやり始めます。汚いですねぇ。
ちょっと普通ではないへイリー。(彼女の育った家庭環境が気になります)

いつものように香水を売っていると、そのホテルの警備員に見つかり、追い出されます。
とうとうへイリーは売春に手を出してしまいます。
お客の男からマジックハンドを盗んで売り払っていたのですが、そのお客がモーテルに文句を言いに来ました。ボビーが追っ払ってくれましたが、売春をしていることがわかってしまいます。
ボビーから暗に売春は止めるように言われ、へイリーは頭にきて、使用していた生理ナプキンを窓にたたきつけます。キッタネェ。
家賃が払えなくなったへイリーはアシュリーのところに行き、前のことを謝り、家賃を貸してくれるようにお願いしますが、アシュリーは断り、売春のことでへイリーを嘲ります。
逆上したへイリーはアシュリーの顔を殴りつけます。

児童家庭局に誰かが電話したらしく、ヘイリーの部屋に職員がやって来ます。
防犯カメラに写った9人の男の出入りとウェブ広告が見つかり、ムーニーは一時的に里親に預けられることになります。
へイリーは逆上し、怒鳴り、暴れ、手がつけられなくなります。
職員達がへイリーをなだめようとしている隙にムーニーは逃げだし、友だちのところに行って、2人は…。

実際にディズニー・ワールドへ続くハイウェイ192号線沿いに安モーテルが軒並び、低所得者の住みかになっているそうです。
サブプライム住宅ローン危機などで家を失ったり、高騰する家賃を払えなくなった人たちが住んでいるそうです。
「Hidden homeless(隠れホームレス)」がアメリカに多く存在するということです。
日本でもネットカフェ難民とか女性ホームレスとかがそうだそうです。

虚構であるディズニー・ワールドと現実である貧困問題。
走って行くこどもたちの未来に果たして希望があるのか…。

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