オードリー・キーオン 『新米フロント係、探偵になる』2021/05/18

新しいシリーズ、「歴史と秘密のホテル」です。


アイヴィー・ニコルズは<ホテル1911>でフロント係のバイトをしています。
<ホテル1911>は20世紀初頭をコンセプトにしたホテルで、鉄道で財を成したモロー家が建てた屋敷をホテルに改装したものです。
ホテルの従業員たちは、1911年に撮影された使用人たちの写真と同じ格好をさせられています。
例えばフロント係はウエストが細く、レースで縁取られているハイカラーのドレスを着ています。
宿泊客はモロー一族が収集した絵画や彫刻などに彩られた豪華な空間での非日常を楽しみに泊まりに来ます。
アイヴィーは大学で心理学を学んでいましたが、パニック障害のため休学しています。
<ホテル1911>で働いているのは、理由がありますが、唯一その理由を知っているのが、15年来の友人でホテルのシェフ・ジョージでした。

いつものようにフロントに立っていると、アメリア・スウェインというお客が息子のジェフリーと共にチェックインにやってきました。
予約はあったのですが、予約簿には部屋の指定は書いてありませんでした。
しかしミズ・スウェインは部屋の指定をしたと言い張り、難癖をつけてきます。
仕方ないので、ホテルで最高の部屋を差し出すことにします。
その他にディナーの予約をしているが、甲殻アレルギーのことは書いてあるかと聞いてきました。
実は書いていなかったのですが、アイヴィーは書いてあると嘘を言います。
予約を受け付けたのは一体誰なのかしら?いい加減ですねぇ。
ちょうどそこに支配人のミスター・フィグが現れたので、ミズ・スウェインを部屋に案内してもらい、急いでジョージにミズ・スウェインの甲殻アレルギーのことを報せました。
ディナーの席でもミズ・スウェインは料理に甲殻類が入っていないかと給仕係に問いつめ、周囲の人々は嫌な気分になってしまいます。

次の日のディナーの最中に急にミズ・スウェインは倒れ、息を引き取りました。
死因は甲殻アレルギーによるアナフィラキーショックである可能性が高いということで、疑われたのはシェフのジョージでした。
警察はジョージが過失を犯したのだと疑っています。
完璧主義のジョージがそんなミスをしないと固く信じるアイヴィーは事件を調べていくことにします。

アイヴィーは不安神経症を患う、カール・ユングに心酔している、心理学を学ぶ学生ということで、何かとユングが出てきたり、心理学の言葉が出てきます。
彼女がそういう風になったのは、母親が幼い頃に失踪したということが関係ありそうです。
二作目も出版されていて、今度は支配人のミスター・フィグが窮地に陥るとか。
シリーズ物として考えられているので、母親の件はそのうち徐々に明らかになるのでしょうね。


スコーンを頼んでみました。


バイブリーティールームズのチーズスコーンとレーズンスコーンです。
今まで頼んだスコーンの中で、一番好きかも。