「ポルトガル 夏の終わり」を観る ― 2021/07/19
映画で海外旅行をしようという2作目。
行くのはポルトガルの町、シントラです。
シントラは首都リスボンから電車で40分、町全体が世界遺産です。
ムーア人が建てた城跡や、ジョアン1世が夏の離宮として建てた王宮、イスラム・ゴシック・マヌエル・ルネサンスなどの様々な建築様式で造られたペーナ宮殿など、それぞれの歴史を象徴する貴重な建造物が残っているそうです。
バイロンが「エデンの園」と称賛した町でもあります。

女優のフランソワ・クレモント(フランキー)はバカンスにポルトガルのシントラにやって来ました。
自分のバカンスなら、夫と二人で楽しめよといいたくなりますが、彼女はわざわざ他の家族も呼びつけていますが、それには理由がありました。
呼びつけられた5人(前夫のミシェルと彼との息子・ポール、今の夫・ジミーの娘・シルヴィアと彼女の夫・イアン、彼らの娘・マヤ)の中で特にシルヴィアとイアンはフランキーに呼びつけられたことに不満を持っているようです。
フランキーの息子のポールは15歳の時に義理の妹のシルヴィアと関係を持ったようです。
まだ母親から独立していない感じで、彼の部屋が水漏れしていると、フランキーに文句を言いに来るような奴です。
自分でホテルと交渉すれよな、大人なんだから。
彼はどんな仕事をしているのかわかりませんが、NYで仕事をしたいからと母親からお金を巻き上げようとしています。
それが上手くいかないとわかると、母がくれた腕輪を森の中に投げ捨てます。
腕輪、見つかったかしら?
シルヴィアはイアンと離婚を考えており、密かに娘のマヤと暮らす部屋を探しています。
マヤは母の行動を知っており、離婚はしてもらいたくないようです。
一人でビーチに行き、電車で話しかけて来た男の子とひと夏の淡い恋をします。
ミシェルはジミーにフランキーと別れた後に自分がゲイであることに気づいたことを告白します。
そしてフランキーと別れた後は人生が変るとジミーに言います。
そんな家族たちの中にフランキーのヘアメイクを担当していたアイリーンが恋人のゲイリーとやって来ます。
フランキーはアイリーンがポールとくっつかないかと期待して招いたのです。
ゲイリーはアイリーンにプロポーズをしますが、アイリーンは断ります。
フランキーの意図を知ったポールとアイリーンは互いに結婚には向いていないことを確認し合います。
美しい世界遺産の町のあちこちで、彼らは会話をし、最後に全員がロカ岬に集まります。フランキーが日没に集まるように言ったからです。
ただ集まって岬をそれぞれバラバラに下るだけ。
フランキーが何をしたかったのかは最後までわからないまま終ります。
ただ美しい一日の終わりの風景が映っているだけです。
イザベル・ユペールさんの着ていた衣装が素敵でした。スカートは少し派手な色でもいいのですね。今度マネをしましょう。
私はジミーがフランキーのために買っていたお菓子が気になりました。
たぶん「ピリキータ」という店のケイジャーダ(チーズタルト)でしょうね。食べてみたいです。
映画の中でフランキーが弾いていたのが、フランツ・シューベルトの「楽興の時」第2曲変イ長調だと思います。
映画で出てきた場所はマサス海岸、王宮、ペーナ宮殿の庭園と東屋、結婚の泉、森林公園、レガレイラ宮殿、ロカ岬、ペニーニャの聖域などです。
宮殿の中が映っていないので行って中を観たいですね。
何気ないたった一日を描いた作品です。
何も考えることなく、美しいシントラの町を眺めていくといいでしょう。
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