「ブリティッシュ・ベイクオフ シーズン1 エピソード 5&6」2021/08/11

ベイクオフが面白いので、長々と書いてしまいました。
もう少しお付き合い下さい。


<エピソード5>
5回目はコーンウォールの漁港マウゼルからです。綺麗な町ですね。
コンテストの行われるテントから海が見えます。
今回のテーマは「ペイストリー」です。
前回一人が脱落したので、今回は4人の戦いです。

オリジナルレシピではベイカーは惣菜入りのセイボリーパイを焼きます。
上面と底の生地がきちんと焼けていなければなりません。特に底の生地が重要。
ペイストリーはギリシャが起源で、現在の生地はパフ、フレーキー、シュー、フィロ、ショートクラフトなどがあるそうです。一般的なペイストリーはショートクラフトで小麦粉が油分の二倍で、少量のラードを使うそうです。
ここまで来ると私には生地の違いを説明できないので、お調べ下さい。

ベイカーたちはそれぞれお母さんのレシピの鶏肉とハム、リーキとタラゴンのパイ、チキンとマッシュルームのパイ、サーモンとタラ、小エビのパイ、牛挽肉のパイを作っています。
どれも美味しそうです。

ここでパイの歴史を書いておきます。
パイは元々労働者階級の食べ物でした。起源は中世の教会で、病人や貧困層のために余った肉を利用しました。上流階級の食卓で使われなかった肉を教区内の貧困層に配り、専門店がパイに包み調理したのです。
上流階級の使用人が食べた鹿の贓物を焼いたパイは「アンブル・パイ(umble  
pie)」と言われ、「umble(鹿などの動物の食用贓物)」と「humble」が似ていることから現在の「ハンブル・パイ(humble pie)」に転じたそうです。「eat humble pie」は「屈辱を味わう」という意味です。

パイの中身に何が入っているのか気になりますよね。
中世の王族の宴会のパイにはカエル、鳥、ヘビの肉が入っていたことがあるそうです。ベビの肉は美味しいのかしら?
産業革命時代の貧しい労働者階級のパイに、野良猫の肉が入っていたという噂もあるそうです。まずそう。
パイと言えば有名なスウィニー・トッドがいましたね。
人肉パイなんて、食べたくないわ。でも色々な食材を食べている人間の肉は美味しいという話も有りますからね…。

北部の産業革命を支えたのがパスティです。
コーンウォールは150年前までは綿の生産地でしたが、その後スズの鉱山作業者の町になりました。鉱山作業者は坑内に入る時、弁当としてパスティを布に包み、冷めないようにパンツの中に入れて持って行きました。食べる時には汚れた外皮は捨てます。

テクニカルチャレンジではコーニッシュ・パスティを1時間半かけて作ります。
(コーンウォールの形容詞は「Cornish(コーニッシュ))
パスティに「コーニッシュ」がつくと厳しい条件があるそうです。
半月状の形でショートクラフト。通常より油分を少なくし、強度が出るように余分に捏ねる。具は牛肉、玉ねぎ、じゃがいも、ルタバガ(カブ)。伝統的にハラミをが使われたそうです。
今回は順位がつけられました。決勝に向けて、だんだんと厳しい戦いになっていきます。

2日目の最後のチャレンジはベイカーのレシピでセイボリーパイと甘いタルトを三種類ずつ作ります。
今まで完璧な仕上がりを見せていたある人が今回無理をしたため脱落の危機に陥りますが、結果は順当なものでした。残りは三人です。

<エピソード6>
12世紀からロンドン司教の住居だったフラム・パレスの庭にテントを張り、コンテストが行われました。歴代の司教さんたちは庭仕事が好きだったらしく庭が有名で、19世紀に庭園が地元住民に開放され、アフタヌーンティー・パーティの会場となったそうです。
そうです。今回のテーマは「アフタヌーンティー」です。

今回の戦いは今までとは違い、オリジナルチャレンジで一人脱落して、ファイナルは二人の戦いになります。
課題は二時間半をかけ、マイレシピで絶品ミニケーキを24個作るというものです。
それぞれが作ったのは、「ミントとショウガとブラックベリーのケーキ」と「レモンカップケーキ」、「シナモンとバナナのケーキ」です。
「ミントとショウガとブラックベリーのケーキ」はショウガの香りはしないので、ショウガはいらない、ケーキが大きすぎる、小さく繊細にした方がいいという評価でした。
ここでポールの職人魂が炸裂します。彼はカップケーキとしては最高だけど、ティーパーティにはカップケーキがふさわしくないと言い出したのです。
メアリーさんの意見は違いました。メアリーさんはこの人の実力を高く評価しているようです。二人の意見が分れ、どうなるのでしょう。
「シナモンとバナナケーキ」は形は悪いけど、アイディアはよい、ケーキもメレンゲも味も最高、イタリアンメレンゲは上級者で高級感という条件を満たしているという意見でした。

メレンゲって三種類あるって知っていましたか。私は知りませんでした。
一番オーソドックスなのが私たちの知っているメレンゲでフレンチメレンゲって言うんですって。
イタリアンメレンゲはシロップの熱で卵白の一部を熱凝固させて泡立てたものだそうです。難しそう。
もう一つはあまり使われていないスイスメレンゲ。卵白に砂糖を加え、湯煎で暖めながら50℃まで上げ、湯煎から外して熱が冷めるまで泡立てたものだそうです。
食べて違いを味わってみたいですね。

さて、ここで脱落する一人を決めます。
メアリーさんとポールさんの意見の一致はあるのか。
なんと脱落者を決めるまで五時間もかかったそうで、今回だけでは決められないので一回目から振り返り、一人を決めたそうです。

<ファイナル>
テーマは「夏の午後の究極のガーデン・ティーパーティ」。
ミニタルトとスコーン、シュークリーム、サンドイッチ(パン作りから)をそれぞれ24個ずつ五時間かけて作ります。
パーティには今までの参加者と各ベイカーの友人や家族がやって来ます。

Aさんが作ったものは「パッションフルーツとレモンカードを挟んだスコーン」と「チョコとショウガのタルト」、「ラズベリーをきかせたシュークリーム」。
Bさんが作ったのは、「甘いトッピングでコーティングしたスコーン」と「パプリカとチーズのキッシュ」、「バニラクリームとレモンカードの挟まったシュークリーム」。

Aさんはパンとシューは絶賛されていましたが、タルトの生地が厚い、スコーンはフィリングが少なすぎると言われていました。
Bさんはどれも味はいいけれど、スコーンが大きすぎ、フィリングが足りない。アフタヌーンティーにセイボリーは2つもいらない、サンドイッチがあるのだから甘いお菓子にしなければならないと言われていました。もちろん、そう言ったのはポールです。ポールさん、結構頭が硬いですねぇ。

誰が優勝したのかは番組を観て確かめて下さい。
一番最後に今までの参加者のその後がわかります。

ここでシーズン1は終わりなのですが、続きがありました。
番外編としてファイナルまで残った三人がウエディングケーキ作りにチャレンジするのです。
名づけて「The Great British Wedding Cake」。
マジパンとアイシングを使って三段のウエディングケーキを作るようです。

「ブリティッシュ・ベイクオフ」のレシピを載せているサイトを見つけたので、作ってみたいと思う方はここをご覧下さい。
審査員の可愛いおばあさんのメアリー・ベリーさんって誰と思った人はここをご覧ください。シーズン1の時は75歳だったのですね。
番組がBBCからチャンネル4に移った時に、ポールは残り彼女はいなくなり他の審査員に代わったようです。ポールは高い出演料に負け(たぶん)、メアリーはBBCに残ることにしたそうです。

この番組を観てから、この頃お菓子作りをあまりしなくなったのですが、また作ってみようかしらと思い始めました。
参加者が作るお菓子の他に美しいイギリスの風景と歴史が垣間見られる番組です。
AmazonやHuluで観られるようです。