サラ・パレツキー 『クロス・ボーダー』2021/09/22

久しぶりのヴィク(V・I・ウォーショースキー)です。
2017年12月に『フォール・アウト』が発売されて以来ですから、約三年半ぶりですかね。
ヴィクも50代?かな。体力も限界に近付いたはずですが…。


ヴィクのいいところでもあり、悪いところでもあるのが、身内に弱いというところです。今回もお金にならないというのに、頼られると断れません。
守る相手はヴィクのことを信用してくれず、肝心なことを話してくれないというのに…。

ヴィクは午前二時にフェリックス・ハーシェルからの電話に起こされます。
ドアに警官がいるというのです。
急いで行ってみると、フェリックスに遺体の身元確認を頼みたいとのこと。
遺体は森と沼地と小さな湖が連なるエリアのキャップ・サウアーズ・ホールディングに遺棄されていて、その遺体のジーンズにフェリックスの名前と電話番号が書かれた紙が入っていたというのです。
そこに行って遺体を見てみますが、フェリックスは誰かわからないようです。

フェリックスはロティ・ハーシェルの弟・ヒューゴの孫です。カナダ国籍で、イリノイ工科大学の大学院で機械工学を専攻しています。<自由国家の技師団>のメンバーで、この冬、ICE(移民・関税執行局)に拘束されていました。
フェリックスは殺人事件の容疑者となってしまい、ヴィクはロティに助けを求められます。
ロティはヴィクにとって親友であり、指導者(メンター)であり、主治医でもある、とても大切な人なので、彼女の頼みならどんなことでも引き受けるヴィクなのです。

長い一日の後、姪のハーモニー・シールがアパートに現れ、姉のリノが失踪したので探して欲しいと言います。
ハーモニーとリノは元夫、ディック・ヤーボローの妹、ベッキー・シールの娘で、もう随分会っていません。
血のつながりもない姪なのに、幼い頃から悲惨な暮らしをしてきたハーモニーが警察には行かないと言ったため、ヴィクはリノを探すことを承知してしまいます。

リノは一年前にシカゴに出てきて、ディックの世話で金融会社の<レストEZ>に就職し、昇進して、カリブ海のパーティに参加し、それから様子がおかしくなったようです。

身はひとつなのに、一度にふたつの事件を追うことになるヴィク。
一見関係なさそうに思えた事件につながりがあることがわかってきます。
危機一髪という場面が何度かありますが、ヴィクは満身創痍ながら危機を脱していきます。
いくつになってもヴィクは格好いい、素敵な女性です。
ヴィク姉さん、いつまでもついていきます、笑。

アメリカの2016年から2018年を描いた作品です。
次作の「Dead Land」、今回みたいに待たせないで、早く出版して欲しいです。


今週のおやつ。


月に1、2回は頼んじゃいます。
コンビニスィーツも楽しみですが、やっぱりお菓子屋さんの方が美味しいですね。