ほしおさなえ 『言葉の園のお菓子番(2)孤独な月』2021/10/15




亡き祖母が通っていた連句会「ひとつばたご」に通うようになった一葉。
まだ連句の用語や規則を確実には覚えていませんが、連句会に通うのは楽しいです。
持ち物は歳時記と筆記用具だけ。年齢も職業もさまざまな、ふだんの生活では知り合えないような人たちが集まってきます。
一葉は祖母のメモに従いお菓子を持っていきます。
9月は上野の「うさぎや」の「どらやき」、10月は西巣鴨の「土佐屋」の「いもようかん」、11月は「銀座清月堂」の「おとし文」、12月は富山県高岡市の「不破福寿堂」の「鹿の子餅」、1月は…。

勤めていた書店が閉店し、次なる仕事を探しながらポップの仕事を細々としていましたが、連句会で嬉しい出会いがありました。
「ひとつばたご」の前身『堅香子』で祖母と何度もいっしょに巻いたことのある川島久子という歌人が久しぶりにやって来たのです。
彼女は一葉が祖母とよく行っていた明林堂という書店が改築してブックカフェとしてオープンし、書店員経験のある人を探していることを教えてくれたのです。
人と人の繋がりが新しい仕事へと橋渡しをしてくれました。

別れがあれば出会いもある。悲しみがあれば、喜びもある。これから生まれる命もあれば、もう帰らない命もある…。
祖母のおかげで様々な人たちと繋がり、人生の機微に触れていく一葉。

航人さんの言葉が身に染みます。
「人はみんなひとりで、集まったからと言って孤独でなくなるわけじゃない。みんな月のように遠くからほかの人を照らすだけ。でもそんな光があれば生きていける」

前回は月ごとのお菓子がまとめて書いてあったのですが、今回は物語を読まないとわからないので、すぐに探せるように書いて置きました。
美味しそうだから機会があったら食べてみたいです、笑。

読んでいると連句をやってみたくなりますが、なかなかできないものですよね。
普段から言葉をどれぐらい大切に使っているかが問われます。
全ての月のお菓子がわかってしまったので、続きはあるのかしら?
一葉も落ち着いてしまったし…。