マイクル・コナリー 『贖罪の街』2021/10/18

ハリー・ボッシュ・シリーズの18作目。ボッシュは65歳になりました。


前作でボッシュはくだらない違反行為をやったばかりに、ロス市警から停職処分を受けてしまいます。その処分で給与も定年延長選択制度資金にも手をつけられなくなってしまうので、生活費と娘の大学入学費用を賄うため、ボッシュはロス市警を退職します。
その一方で不法な手段で無理矢理退職に追い込まれたとロス市警へ異議申し立ての訴訟を起こし、異母弟で弁護士のミッキー・ハラーを雇っています。

退職してからボッシュは古いハーレー・ダビッドソンをレストアして過ごしていました。
そんなある日、ハラーから呼び出され、ボッシュを調査員として雇いたいと言われます。
古くからの顧客ダクァン・フォスターがレクシー・パークス事件の容疑者として捕まり、その事件を担当していた調査員のシスコがバイク事故を起こし故障者リストに入ったので、彼の代わりに事件を調べて欲しいというのです。
レクシー・パークス事件とは、2015年2月、ウエスト・ハリウッド市の市政管理官補のレクシー・パークスが自宅のベッドで眠っているところを襲われ、性的暴行を受け、撲殺されたという事件で、始めは容疑者はいませんでした。
ところが事件から38日後に、犯行現場で採取されたDNAとフォスターが2004年にレイプ容疑で逮捕された時のDNAが一致したのです。

ボッシュは迷います。ハラーの仕事を引き受けるということは、警察仲間への裏切りとみなされます。
しかし事件を知るにつれ、ボッシュは興味をそそられ、ハラーに協力することになります。

読んでいてつくづく思いました。ボッシュは骨の髄まで刑事なんですね。
前巻でボッシュのパートナーだったルシア・ソトも出てきて、ボッシュに協力してくれます。彼女は内部監査でボッシュに不利な証言をすることを拒否したので、みんなの嫌われ者のパートナーがあてがわれたらしいです。彼女はガッツがある人なので、何とかやっていくでしょう。

弟のミッキー・ハラー・シリーズもコナリーは書いています。一作目の『リンカーン弁護士』は読んでいます。(他の本は記憶にないです、笑)
なんでリンカーン弁護士なのかというと、高級車リンカーンの後部座席を事務所代わりに使っているからです。
経費が安く抑えられるし、気が向いたらどこにでもすぐに行けていいかも。

今回も最後まで面白く読める作品です。