桜木紫乃 『ブルースRed』 ― 2021/10/28
『ブルース』のその後。
血の繋がらない父である景山博人が亡くなり、彼の代わりに釧路の町を裏側から牛耳る景山莉菜。
町は変っていき、彼女の影響力もだんだんと衰えていく。
彼女の望みは博人の血をひく武博を立派に育て、官僚から国会議員にするということ。
そのためには邪魔ものたちを排除することも厭わないし、必要なら自分の命すら捨てる。
そんな彼女が最後に身を寄せた場所とは…。
姐さん、と呼びたくなる莉菜です、笑。
実際の釧路に彼女のようなフィクサーがいたのかしら?
私のような一般人には関わりを持つことがない女(ヒト)ですね。
桜木さん曰く、「守りたいものがあれば、いくらでもワルになれる。そんな女を書きました」。
本の中では博人に「男と違って女のワルには、できないことがない」と言わしていますが、莉菜が惚れた男たちのためにやることは、「ワル」ができることではないです。
私には悲しい女の性(サガ)のように思えました。
帯には最高傑作とか書いてありますが、それほどではなかったです(ゴメン)。
なんか今までの作品とは違い、釧路の荒涼とした感じが少なく、莉菜には最後まで感情移入ができませんでした。
女のアウトローは小粒になりがちなのかしら。
終わり方がちょっと残念でした。莉菜は人とはつるまないと思うんだけど…。
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