古内一絵 『キネマトグラフィカ』2022/01/18

『二十一時の渋谷で キネマトグラフィカ』の前のお話。
1992年、まだ映画はデジタルではなくフィルムの時代でした。


2018年、老舗の映画会社、銀都活劇の平成元年組が同期会で群馬県にある桂田オデオンに集まりました。
この日劇場で上映されるのが、日本映画界黄金期を支えた早世の大スター、橋口蓮之助主演の映画でした。

同期は珍しく六人。
小林留美:短大卒なので同期の中で最年少。事務職で登録(ブック)担当。社内のアイドルだと自称している。早く相手を見つけて結婚したいので、仕事は腰掛け程度でいい加減。
水島栄太郎:痛々しいほど自意識が強くて神経質。映画をこよなく愛し、誰よりも映画の知識がある。持論を熱く語るのがみんなにうっとうしがられている。同期会の発起人で、営業に行っていた桂田オデオンの社長の娘と結婚し、今は支配人をしている。
仙道和也:元山岳部で一流大卒。ガタイも顔もいい。趣味が多く、こだわりが強い。礼儀正しく明るいので、取引先や同業者からも好感を持たれることが多い。
葉山学:優秀な兄にコンプレックスを抱き、プライドは必要ないと割り切っている。軽佻浮薄。恐ろしくいい加減。遅刻は日常茶飯事。入社早々”マナバヌ”と綽名をつけられる。
北野咲子:不器用なほど生真面目。”業界初の女セールス”、”女のほうが男より優秀だ”、”だから女はー”という言葉が重く心にのしかかっている。ストレスの解消方は映画館に行くこと。映画への思いは人一倍強い。後に”ママさんプロデューサー”と呼ばれるが…。
小笠原麗羅:唯一のコネ入社。帰国子女でネイティブ並の英語スキルがある。国際部に配属され、語学力以外に交渉力も優れており、どんどん会社を変えていっている。みんなに別格と思われている。

映画を観ながら彼らが思い出した二十六年前の出来事とは…。

映画祭シーズンに、登録担当の留美がブッキングをセールスたちに丸投げしていたため、複数の劇場で人気の”蓮さま”作品の上映時期が数珠つなぎにかさなってしまい、ケヌキすることになります。
「ケヌキ」とは「楽日の翌日に別の劇場で上映を行う際に、セールスが自分でフィルムプリントを劇場に持ち込むこと」。
新幹線を使い、スタートが群馬の桂田オデオンで次は大阪、名古屋、ゴールが博多です。前代未聞のブッキングでした。

あれから二十六年が経ち、50代になった彼らの思いは…。

私はどうしても咲子に共感してしまいます。
男女雇用機会均等法が出来たけど、まだまだ世の中は男性社会で、法律ばかりが先をいき、実態が伴っていなかった頃です。
あれから何十年経とうが、日本社会は変っていないんじゃないかと思います。

「時代の波に呑まれて消えていくものがあるように、誰もがなにかを失いながら生きていく。
それでも生きている限り、たとえいくつになろうと、なにを失っていようと、自分たちはいつだって、”これから”なのだ」

こう思って生きていけたらいいなと思いますが…。
40代、50代の女性が読むと刺さる本です。
『二十一時の渋谷で キネマトグラフィカ』と一緒に読むことをお勧めします。


今人気のお菓子ということで、いただいたのがサマンサタバサ限定「バターのいとこ塩キャラメル」。


他にも色々な味があるようですが、サマンサタバサ限定品には「Sama」というロゴがついています。
牛乳からバターを作った後に残る無脂肪乳から作ったお菓子だそうです。
サマンサタバサはバッグ以外にスイーツにも手を出したのですね。

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