新川帆立 『倒産続きの彼女』2022/02/14

元彼の遺言状』の続編。


今回の主人公は、山田川村・津々井法律事務所に勤める弁護士、美馬玉子。
剣持麗子の一年後輩にあたる、結婚願望の強い、ぶりっこ弁護士です。
しかしそれは見かけだけで、唯一の家族である祖母の世話をし、彼女に介護が必要になった時のためにお金を貯めている良い孫です。
麗子のような何の苦労も知らない人たちや世の中の不公平や不条理に憤りを感じています。

玉子が麗子と受け持つことになったのは、有名なアパレル企業のゴーラム商会の案件でした。
ゴーラム商会は売れ筋のレインブーツ・シリーズの独占販売契約を打ち切られてから資金繰りが悪くなり、事務所の倒産チームが倒産を避ける方向で模索しているようです。
玉子たちに任されたのは、別件の内部通報の方でした。
経理部の「近藤まりあ」が転職するたびに会社が潰れる。彼女が不正行為をして、潰して回っているのではないかというものです。
履歴書を見ると、通報通りにこれまで勤めていた三社は入社後二、三年で潰れていましたし、資格のある経理のプロなのに、会社選びが不自然でした。

ゴーラム商会の経営悪化の原因を調べてみると、その一つがドラフトに入っていた「自動更新条項」が契約書原本で抜け落ちていたのに誰も気づかなかったことでした。
総務課長の只野によると、法務の人がごそっと辞めたため、彼女が見様見真似で契約書を扱い、弁護士にも上司にも相談できず、唯一相談したのが、あの近藤まりあだと言うのです。
近藤のSNSには高級ホテルに出入りし、高級品を身に付けている様子が…。
近藤がランダール社の内通者なのか、それとも只野が嘘をついて近藤に罪を擦り付けているのか。
玉子たちは近藤と只野のヒアリングをしますが、近藤のヒアリングの後、只野は現れず、隣室で死体となって見つかります…。

剣持麗子に比べるとヒロインが位負けしています。
これからもヒロインを回り持ちするのでしょうか。
それよりも麗子でやるか、玉子も成長したことですし、二人のコンビで行く方がいいのではないでしょうか。

弁護士というと、刑事事件に関わるというイメージがありますが(私だけ?)、他にも色々と仕事があるんですねぇ。
この本に出てくる山田川村・津々井法律事務所には、「会社法を専門とし、会社の平常運転時のサポートするコーポレートチーム」と、「倒産法を専門とする、会社が危機的状態に置かれた場合に活躍する倒産チーム」、「金融取引を担当とするファイナンスチーム」があるようです。
麗子も玉子もコーポレートチームに属し、倒産チームの哀田弁護士が彼女たちに協力してくれました。
次回はファイナンスチームの出番かな?

弁護士が主人公ですが、それほど難しい法律用語も出てこないのでわかりやすく、スラッと読めちゃいます。
『元彼の遺言状』の方がインパクトがありましたがね。


今日はバレンタインデー。
今年は忘れずにチョコレートを頼みました。


去年見つけて、可愛いなぁと思っているうちに売れてしまったクマさんを買ってみました。
買って後悔しました。どこから食べればいいのよ!可愛くて食べられないわ!

もう一つは、マリアージュフレールの「CHOCOLAT des MANDARINS マルコポーロ」。他に「サクラ」と「アールグレイインペリアル」があるようです。



紅茶「マルコポーロ」の香りがちゃんとするチョコレートです。
昨年のチョコよりもこちらの方が私の好みです。