篠田節子 『失われた岬』2022/02/19



様々な人たちが、何年も前から北海道の寂れた漁港の町で消息を絶っていた。
彼らはカムイヌフという岬に行ったようだった。
そこには何があるのか。カルト教の施設か、それとも楽園なのか?

ノーベル文学賞を取った作家の一ノ瀬和紀が授賞式の前日に失踪した。
彼の担当編集者の相沢は会社からの命を受け、一ノ瀬の足取りを追う。
彼は岬に行ったようだった。
ツテを頼りに一ノ瀬に会うが、もはや一ノ瀬は前の彼ではなかった。

やがて岬は世に知られるようになり、警察が介入するという噂がたつ。
一ノ瀬を警察の手から守るために、相沢はフリー記者の石垣と共に岬まで行く。
しかしその時、岬に特別な植物が生えていることに気づいた窃盗団が上陸し、根こそぎ植物を強奪し、爆弾をしかけて去り、岬にいた人々はみな死んでしまった。

相沢は一ノ瀬の全集を出版しようとするが、著作権継承者である妻の杏里から、一ノ瀬の出奔から死に至るまでの事情や心理、その背後にあったものを探って欲しいという条件を出され、岬のことを調べることになる…。

とっても長い小説でした。前半の女性のお話はなくてもよかったかも。
岬には何が隠されているのか、興味津々で読み進んでいきましたが、それほどの秘密でなくて、ちょっと残念でした。
近未来から戦前にまで時が遡るとは、思ってもいませんでしたが。

真の幸せとは何かを考えさせられるお話でした。
このまま欲望に忠実に進んで行く未来がいいのか、それとも…。
世界はどちらに進んでいくのでしょうか。

そういえばこの頃、「ウポポイ」のコマーシャルをよく見ますが、何故なのかしら?