ホリー・ジャクソン 『自由研究には向かない殺人』2022/03/20

YA(ヤングアダルト・主に10代)向きに書かれたイギリスのミステリーです。
「このミステリーがすごい!」2022年度第2位ということなので、読んでみました。


ピップことピッパ・フィッツ=アモービはリトル・キルトンに住む女の子。
リトル・キルトン・グラマースクールの最終学年で、大学の受験勉強をしつつ、5年前に起こったアンディ・ベル失踪事件を取り上げて「自由研究で得られる資格(EPQ:Extended Project Qualification)」を取ることにする。

アンディ・ベルは未だ見つかっておらず、ボーイフレンドのサル・シンが遺体で見つかり、警察はサルがアンディを殺害して自殺したと発表していた。
ピップはサルと面識があり、サルがアンディを殺したとは思っていない。
調査することにより、犯人を見つけられるとは思っていないが、真実や筋の通る説が明らかになり、サルの有罪に合理的な疑いを生じさせ、警察が調査を早々に打ち切ったのが間違いだったと暗に知らしめることができればいいと思っていた。

ピップはネットやsnsを駆使しながら、サルの弟のラヴィ・シンや行方不明捜索班の警察官、アンディの親友などにインタビューを行なった。
新聞記事から時系列に事件を追い、裁判所に情報公開請求をし、殺人地図や相関図を作り、容疑者をあげていく。

しばらくしてラヴィがピップに協力してくれることになるが、加害者家族であるラヴィに周りは冷たく、ピップは憤りを覚える。

やがて浮かび上がるアンディの真の姿ーー陰湿ないじめ、機能不全家族、ドラッグetc.。
真実に迫るピップに脅迫文が届く。

イギリスでは殺人事件などを調べて論文を書くと、本当に単位をくれるのですかね。日本なら絶対にあり得ないことですよね。
ピップは聡明ながら無鉄砲。住居侵入をしたり、ドラッグの密売人に会ったりと危ない場面もあり、ハラハラしながら読んでいきました。
愛犬が殺されるなんて、ひどいです(怒)。
kindleで読んだのでわからなかったのですが、500ページ以上もあるそうですが、全く長さを感じさせませんでした。
ともすれば暗い感じになってしまいそうですが、ピップの性格の描き方がよくて、明るい青春物語風になっています。
YA向きですが、大人が読んでも十分楽しめます。
続編もあるようなので、翻訳されたら読んでみようと思っています。
お勧めのミステリーです。

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