澤田瞳子 『落花』2022/04/05



父の敦美親王に疎まれ、長男でありながら幼くして仁和寺に入れられ僧となった寛朝は、梵唄(ぼんばい)で父を見返そうと思い精進した。
やがて二十二歳の若さにもかかわらず、仁和寺の誇る梵唄僧として京洛に名を知られるようになる。
しかし寛朝は満足できず、楽人・豊原是緒から「至誠の声」の教えを受けるために、従僕の千歳を含む十数名の供に守られ、京を離れ、板東へと赴く。

豊原是緒は常陸国分寺で心慶という僧となり、傀儡女船の女たちに楽の手ほどきをしていた。
寛朝が名乗り出ても、人違いだと言いはり、寛朝を避けるばかり。
心慶は傀儡女の一人、あこやを特別に思っており、彼女に無明という琵琶を与えていた。
その琵琶は千歳が立身出世のために探し求めていた天下十逸物のひとつ、有明だった。

武蔵国庁で平将門と運命的な出会いをした寛朝は、豪放磊落な将門に強く魅了され、彼の放つ戦場の音に心惹かれていく…。

戦場の様子や平将門が生き生きと描かれています。
主人公は平将門と琵琶で、寛朝は狂言回しかな。
大河ドラマを見たことがないので、なんとも言えませんが、加藤剛が演じた将門はこんな感じだったのでしょうか?
江戸時代が好きでしたが、意外と武士が活躍する時代も面白そうですね。

ちなみに寛朝は平安中期の真言宗の僧で、986年に日本で三番目に大僧正になった、真言声明の中興の祖と言われている人です。
平将門が関東で反乱を起こした際に自ら関東に下向し、祈祷をし、その時に祈祷した不動明王を本尊として創建されたのが成田山新勝寺だそうです。

澤田さんは『若冲』と『火定』とこの本で三度直木賞候補になり、やっと『星落ちて、なお』で直木賞を取ったのですね。
『若冲』や『火定』で取っても良かったと思いますが、他のどの本が直木賞になったのかしら?


ちょっと早めのおやつです。


少しずつ、美味しいスイーツが入っています。(並べ方が雑ですね)


食べ過ぎなくていいかも、笑。