砂原浩太朗 『高瀬庄左衛門御留書』2022/04/08

本屋大賞が決まりましたね。
逢坂冬馬さんの『同志少女よ、敵を撃て』という時流に乗った本です。
先月にKindleで買って少し読み始めたのですが、他の本の方が面白くて、そのままになっていました。気が向いたら読んでみます。

第165回直木賞候補になった『高瀬庄左衛門御留書』は中高年男性の夢を描いたような作品です。


神山藩で郡方を務めていた高瀬庄左衛門は二年前に妻・延を亡くした。
息子の啓一郎は学問で身を立てようと思っていたが叶わず、二十歳で郡方になって三年経つ。秋本という勘定方の下役の娘・志穂を嫁にもらったが、二人はしっくり行っていないようだった。

思いもかけないことに、五日間の郷村廻りに出かけた啓一郎が事故で亡くなる。
志穂は高瀬家に残りたいと言ったが、庄右衛門は四十九日がすぎてから秋本へ戻した。
高瀬の家は存続を許され、郷村廻りは庄左衛門が願い出て引継いだ。
小者の余吾平には暇を出し、庄左衛門は一人暮らしを始める。

そんな時に、志穂が絵を教えて欲しいと、弟の俊次郎を連れてやって来る。
嫁には行きたくないので、団扇絵などを描いて、女ひとりで生きていきたいと言う。
非番の日に志穂と俊次郎と絵を描いてすごすのが、庄左衛門のただひとつの楽しみとなった。

そんなある日、志穂がもう一人の弟、宗太郎のことで気にかかることがあると相談してくる。

昔の五十歳というと、今の六十代でしょうか。
もう若くはなく、晩年と言っていい歳ですよね。
そんな男に若い女が惚れますか。男性の夢ですよねぇ(笑)。
まあ半次とか立花弦之助などという若者が慕っているので、庄左衛門はいい人なのでしょう。でも何かねぇ。いらなくない。

後半になると、農民の謀反、昔の因縁、藩の騒動やら色々とあります。
何があろうが、庄左衛門は淡々と受けて立つという感じです。人生を達観しているのね。
作者曰く、「ままならない人生を、ままならないままに生きる人たちの物語」だそうです。
特に中年男性には好きな時代小説になると思います。是非読んでみてください。
私は…嫌いじゃないです、笑。


<今日のわんこ>
見返りわんこ。


彼の嫌いなこと、例えば歯磨きとかブラッシングをすると、ブルブル震えます。
でも好きなことをしていると、こんなにいい顔になります。
犬も好きなことばかりしていたいですよね。

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