江國香織 『ひとりでカラカサさしてゆく』2022/04/11



可愛らしい表紙です。題名も変わっていますね。
登場人物が多く、誰が誰だか分らなくなり、混乱すると思いますのでまとめて書いておきますね。(私だけ?)

大晦日の夜、あるホテルで80代の男女が猟銃自殺をする。
死んだのは篠田完爾、八十六歳と重森勉、八十歳、宮下知佐子、八十二歳。
三人は千九百五〇年代の終わりに美術系の小さな出版社で働いていた。
わかっているのは完爾が癌を患っており、そう長くはなかったこと。

篠田完爾は妻が亡くなり、十年前に秋田へ移住して田舎ぐらしを楽しんでいた。
子どもは息子の東洋、五十七歳と娘の翠、五十二歳。
東洋には妻と二十七歳の娘、葉月がいる。葉月はデンマークの大学でアンデルセンを研究している。
翠は結婚しているが、仕事はしていなく、家事と病院通いの毎日。

宮下知佐子は元編集者。劇作家の夫と結婚していた。
娘の朗子は結婚後子どもを捨て、男とくっついては別れるを繰り返している、男なしではいられない女。子どもたちは夫の祖母の家に引き取られた。
孫の踏子は三十六歳で作家をしている。祖母とは上手く行かず、17歳の時に家を出た。一時期知佐子のところに身を寄せたこともあるが、長いこと音信不通だった。
もう一人の孫の勇樹は三十三歳、獣医。妻の里保はトリマーをしている。
母親と姉とはずっと連絡を取っていない。

重森勉は独身で、出版社を皮切りに、輸入会社社長、クラブ支配人、日本語教師と転々と仕事を変えていた。
勉に後を任された輸入雑貨店の経営者河合順一は、勉のことを上司で恩人、友だちだと思っている。
勉と仲の良かった父、美術評論家の蕨田巌の関係で圭と塁の兄妹は納骨に行く。
彼らは父が死んでから、勉に一度しか会っていない。
圭は離婚間近で、妻の親が経営している喫茶店で離婚してもそのまま働こうかどうか迷っている。
日本語学校で勉にお世話になった教え子たち(藍沫と思涵、浩宇)は勉が眠っている八王子の霊園まで行き、手を合わせる。

家族や知り合いの死をきっかけに、少しずつ変わっていく人の気持ちと日常を描いた作品です。
初っぱなに猟銃自殺が出てきて、江國さんの作風が変わったかと思ったら、変わっていませんでした、笑。
最後まで何故彼らが死んだのかはわかりませんが、死はあくまでも個人的なものですし、受け取り方もそれぞれですもの。
私自身、東洋とか勇樹っぽいところがあるなぁと思いながら読んでいました。
一体この本は何を言いたいのとか問わず、いつものように、江國ワールドを楽しんで読むといいでしょう。

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