ファビオ・スタッシ 『読書セラピスト』2022/04/22

読書は「癒やしの活動」と言われています。
医療の専門家や心理学者は読書の癒やし効果を認め、長い間治療の補助として本を処方してきたそうです。
1916年にアメリカの牧師でエッセイストでもあったサミュエル・マッコード クローザーズ(Samuel McChord Crothers)が「ビブリオセラピー(読書療法:Biblio-therapy)」という言葉を初めて使い、1930年代にアメリカのメニンガー兄弟の研究をきっかけに読書療法は注目され、2013年6月にイギリスでは政府公認で医師が精神疾患のある患者に本を処方する医療システムが始まったらしいです。
ストレスの約68%が読書により軽減され、本を読む人は読まない人よりも2年長生きをするらしいですよ。(「STUDY HACKER」2019/3/24より)

みなさん、本を読みましょう!
ただし、読書習慣のない方にはこの本は薦めません。
この本は、文学的ミステリー小説と言ったらいいのかな、読書初心者にはとっても読みずらい本です。
ミステリーが好きなら、東京創元社のハードカバーではなく、創元推理文庫から始めましょう。


国語教師の資格を持っているにもかかわらず、何故か採用されないビンチェ・コルソは、二ヶ月の約束で古い建物の最上階の部屋を借り、読書セラピーを開業する。
やって来たのは、「髪型がいうことを聞かないという女性」や「夫を下宿人として見ていた女性」、「十二歳歳下のライバルのせいで見捨てられた女性」、「世界を見過ぎたという、目に病気のある女性」、「太らなければならない女性」etc.。
それぞれが癖ありで、ビンチェは彼女たちに翻弄される。
彼女たちは彼が処方する本に納得するかと思えば、怒り出す始末。(どちらかと言えば納得しない人の方が多い、笑)
意気消沈するビンチェ。

そんな頃、階下の女性が失踪し、夫が殺したのではないかと言う噂が出回る。
彼女が読者家だと知り、ビンチェの好奇心は高まる。
知り合いの古書店主のところに残されていた彼女の本のリストを見たビンチェは、リストを手がかりとして彼女の行方を追う。

謎解きを楽しむというよりも、やって来る女性とビンチェとの丁々発止の会話を楽しんで読むという感じです。
残念ながら処方されるのが海外文学作品なので(一冊日本の本があります。意外な本ですよ)私が読んだ本が少ししかなかったです。
出てくる本のあらすじを読んでから読むとより面白く読めたかもしれません。

シリーズになっているようです。
頼りなさげなビンチェ君がちゃんと読書セラピストとしてやっていけるのか、おばさんは心配です、笑。

蛇足ながら日本読書療法学会というのもあるようです。