仙川環 『幸福の劇薬 医者探偵・宇賀神晃』&『偽装診療 医者探偵・宇賀神晃』2022/04/29

散歩をしていると、何やらいい香りがしてきました。
どの花からかと見渡してもわかりません。
帰りも同じ道を通ったので、よく探してみると、この花でした。


ハゴロモジャスミンも満開で、いい香りを振りまいています。

さて、連休中にすぐに読める医療ミステリーを紹介しましょう。


宇賀神晃は自殺をした親友・明石幹彦の葬儀に出席した。
明石は曙医科大学付属病院脳神経外科の医師だった。
アルツハイマーの特効薬DB-1を開発している脳神経外科部長・脇本新一から明石はパワハラを受けていたのではないかという疑惑があった。

宇賀神は元曙医科大学付属病院の医師。上司である消化器内科教授の不正を新聞に売り渡し、曙医大の名誉を毀損したとして、辞職させられていた。
今は新宿区にある淀橋診療所の雇われ院長をしている。
葬儀の後、宇賀神が辞める発端となった記事を書いた中央新聞社会部の記者・新郷美雪から明石が手術でミスをして、患者を死なせたという噂を聞く。
美雪は宇賀神に取材に協力してもらいたいと言う。
宇賀神は断るが、その二時間後に美雪は診療所まで押しかけてくる。
たまたまいた病院給食業者会長の瓦田春菜が曙医大病院で潜入調査をすると言い出したため、宇賀神は嫌々ながら美雪に協力することになる。

認知症の介護はこれから重大な社会問題になるでしょうね。
自分の家族が認知症になってこんな薬があったら使うだろうかと考えてしまいました。
新郷美雪は強烈なキャラのとんでもない女です。



宇賀神は淀橋診療所を経営する老医師・大窪に厳命され、三週間前に受診した李という中国人が住むアパートへ出向いていく。
というのも大窪は李が不正に入手した健康保険証を使っているのではないかと疑っているのだ。

二ヶ月ほど前に、台湾人の患者が、若い女性通訳を伴って受診した。
彼女はC型肝炎ウイルスの抗体検査をしたいと言い、検査結果が陽性だったので、宇賀神は曙医科大学付属病院に紹介状を書いた。
その後に李は同じ通訳を伴って受診し、前の患者と同じやり取りが繰り返され、不審に思った診療所の受付・内藤イネが大窪に告げ口をしたのだ。
彼女は断固として診療所が不正の温床になってはならないと言い張る。
宇賀神は仕方なく紹介状を書いた先の曙医科大学付属病院消化器内科の後輩医師・樋口と会い、教授にこのことを話して、教授から厚生労働省に注意を促してもらいたいと頼むが断られる。
反対に宇賀神が患者の背後にいるブローカー、あるいは組織を突きとめたらいいと言われてしまう。

そういう時にまた新郷美雪が現れる。イネが呼んだのだ。
宇賀神は再度美雪と春菜とチームを組み、健康保険証不正利用問題を調べる羽目になる。

外国人の健康保険証不正利用については、前に呼んだミステリー小説で指摘されていました。本当にあるのでしょうね。
それにしても宇賀神は情けないですねぇ。美雪にいいように使われて。
正義感が強いのはいいのですが、もっと上手く立ち回るようにならなければ駄目でしょう。
奥さんはさぞ不甲斐なく思っていることでしょうね。

謎解きは大したことがないですが、目のつけどころはいいと思いました。
とっても読みやすい医療ミステリーです。