「浅田家!」を観る2022/05/13



ボーとしながら観るにはよさそうだと思い、「浅田家!」を観てみました。
三重県津市出身の写真家・浅田政志さんの写真集を原案に、実話に基づいて作られた映画だそうです。

浅田家の父の章はカメラが趣味で、年賀状に二人の息子に同じ服を着せ、ポーズを取らせた写真を載せていました。
政志の12歳の誕生日に、章は自分のカメラを贈りました。

高校を卒業した政志は大阪の写真専門学校に入りますが、学校はサボりまくり、そのせいで卒業するには、「もし一生であと一枚しか写真が撮れないとしたら」という写真を撮ることが条件でした。
彼が題材に選んだのが、自分の家族。
撮った写真が、10歳の時に主夫をしていた父が包丁を落として怪我をし、それを母に知らせようとした政志が玄関で転んで血を流し、騒ぎを聞きつけて2階から降りようとした兄が階段から転落し、三人一緒に母の働く病院で手当を受けた時の様子です。
この写真は学長賞を取り、政志は無事に卒業できました。

家に帰ってきた政志は何をするわけでもなく、パチプロになりブラブラと遊び歩いていました。
恋人の川上若菜はそんな政志に愛想を尽かし、東京で憧れのアパレルの仕事をするために津を出て行きました。
兄は政志のことを心配し、知り合いの会社の面接をセッティングしますが、政志はすっぽかします。
父は彼なりのやり方で政志を励まそうとします。
そんな父に何になりたかったのかと聞く政志。
消防士と答える父。
政志は本物の消防服と消防車を借り、家族に消防士の姿をさせて写真を撮ります。
それから母のために、極道妻を、兄のために、鈴鹿サーキットでレーサーを…。
政志は次々と家族にコスプレをさせて写真を撮ります。

手応えを感じ、今まで撮った写真を持って政志は東京に向かいます。
兄は政志に手作りの浅田家のアルバムを持たせます。
東京で転がり込んだのは、若菜のアパート。
カメラマンのアシスタントをしながら色々な出版社に行きますが、どこも相手にしてくれません。
そんな政志に若菜は個展をすることを提案します。

個展にたまたま来た赤々舎という小さな出版社の社長に気に入られ、政志はやっと写真集を出版できることになります。
しかし売れません。
自信を無くす政志でしたが、しばらくして日本写真界の芥川賞とも言われている「木村伊兵衛写真賞」受賞の知らせが届きます。
受賞式でも家族写真を撮ってしまう政志。

それからの政志は家族写真専門のカメラマンになります。
最初の家族が岩手県野津町の高原家です。
家族のことを聴き取り、どんなシチュエーションの写真を撮るのか決めます。
政志はそれからも次々と家族の写真を撮っていきます。

2011年3月11日。
政志は個展の打ち合わせで富山にいました。
4月。高原家のことが心配になった政志は野津町に行きます。
高原家の住居のあった場所にはガレキがあるだけ。
町役場に行きますが、何もわかりません。
そんな時に政志は一人の青年が写真を洗って干しているのを見かけます。
彼に声をかけ、手伝うことにします。
青年は小野と言い、親友が行方不明になっているそうです。

政志は父親の写真を探す少女・莉子に出逢います。
彼女は政志の写真集を見付け出してきて、見ています。
ある日、かつて政志たちに怒鳴り込んできた男性がやって来ます。
娘の遺体が見つかり、遺影になる写真を探していたのです。
政志たちは一緒に写真を探そうと思いますが、顔がわかりません。
卒業アルバムになら写真が載っているかもしれないと思いつきます。
政志たちの様子を見ていた莉子は、父親の写真も見つけて欲しいと言ってきます。
政志はそれは出来ないと断ります。
納得できない莉子は政志をかつて家があった場所に連れて行き、今度は家族写真を撮って欲しいと頼みます。
政志は断ります。
政志はシャッターを押せなくなっていたのです。

そんな頃、兄から連絡がきます。
父の72歳の誕生日に帰ってこいと…。

楽しい浅田家のお話かと思ったら、東日本大震災のことが出てきて、思わず居住まいを正しました。
震災の悲惨な状況を見て、シャッターを押せなくなった政志がシャッターを押せるようになるまでが見物です。
(でも父親の写真がない理由はすぐにわかりそうなのですが…)

普段何気なく撮っている写真の存在意義を考えさせられる映画でした。
この頃携帯で撮ってデジタルで保存しておくだけで、プリントにしていませんでしたが、気にいった写真をプリントしてアルバムに保存しておくと、何かあった時にいいんだということがわかりました。
何枚も選ぶと分厚くなるので、一月とか一年で一枚とか、何かの行事ごとに一枚とかにすれば問題なさそうです。
是非、家族アルバムを作ってみて下さい。

浅田家は毎年写真を撮り続けているそうです。
テーマは都道府県。
1年に1県ずつ行き、全国制覇を目指しています。
2022年で13県目だそうで、47県ありますから、制覇は遠いですね。
ホント、ノリのいい家族です、笑。

(12県目の兵庫県の写真はここ。13県目は茨城県で、写真はここ