知野みさき 『告ぐ雷鳥 上絵師 律の似面絵帖』2022/05/30



人助けのために危ない目に遭い、子を亡くしたにもかかわらず、律は似面を描くのを止めません。
夫の涼太はそんな律を心配しつつも律の気持ちを大事にし、描くのを止めません。いい夫ですね。
浅草の料亭・尾上の娘・綾乃は御用聞きになりたいと言い出します。
お嬢様は世間知らずで困ったもんです。もちろん相手にされませんけどね。

そんな頃、着物の依頼が来る。
依頼主は志摩屋の隠居で、向かいの三河屋の隠居が孫のために買った鞠巾着を見て、律の腕を見込んで着物を注文したいと言い出したらしい。
律は志摩屋に行くついでに鬼子母神にお参りもしようと思い立ち、定廻り同心・広瀬保次郎の妻・史織と一緒に志摩屋に行く。
依頼は友人の二十代半ばの行商人のためにらいの鳥を描いて欲しいというものだった。

珍しい意匠のため悩む律。
雷鳥は白山信仰で「神の遣い」と言われている。
ゆえに、白山権現なら絵姿を所蔵しているのではと思い、律は白山権現に行ってみる。
そこで律の千日紅の簪や彼岸花の鈴を作った錺師の達矢を見かけ、声をかける。
雷鳥の意匠のことを話すと、達矢は恩師の形見の懐中仏を見せてくれる。
そこに彫られていたのは雷鳥だった。

律は意匠を二つに絞った。
明日は志摩屋に行った後、史織と心置きなく音羽町を楽しめると浮き浮きしているところに、志摩屋からの遣いがやって来て、都合が悪くなったからと下書きを持って行った。
そのため音羽町には行かず入谷の真源寺に行った後に、史織の実家の片山家を訪れることになる。
運のいいことに、史織の父・通之進が画譜の「梅園禽譜」を持っており、その中に雷鳥が描かれていた。

思いもかけない出会いに感謝する律。
ところが志摩屋が…。

前回の事件はまだ続いていましたが、今回で一件落着でよかったです。
お上の似面絵描きをしている限り、危険とは隣り合わせ。
今以上に何もなければいいのですが…。
その一方上絵師の仕事は充実してきていますね。そのうちに着物の仕事も増えてくるでしょう。
雪はいいかもしれませんが、彼岸花とか雷鳥の意匠は特殊すぎですよね。
写真で見ると、冬の雷鳥は真っ白でかわいいです。
着物は肩のところが空なので水色で、胸から腰のところに真っ白な雪山、裾付近に真っ白な雷鳥の着物なら大丈夫かな。
そういえば男性が着る着物って無地とか小紋とかの細かい柄だと思っていましたが、江戸時代などには意匠の着物も着ていたのですかね。
この本では彼岸花と雷鳥の着物は男性が着ますもの。
今なら演歌歌手とか歌舞伎役者なんかが着そうですけど。


<暑い時のわんこ>


「パパ、早く水ください」と言うように、弟が後ろ脚で立って要求しています。
兄は弟の後ろで静かに待っています。


二匹のために大きい水飲みを買ったのに、大きくても二匹には関係なかったようです、笑。