新川帆立 『競争の番人』2022/06/23

公正取引委員会を取り上げたお仕事小説。


白熊楓は警察官だった父が仕事中に大怪我をおったことから警察学校を中退し、国家公務員試験を受け、公正取引委員会に入局した。
聴取対象者が自殺してしまい、尊敬する上司・遠山から女くさくて馬が合わなさそうな桃園のチームに配置換えされてしまう。
東大を首席で卒業し、留学先のハーバード大学でも首席だったというエリート審査官・小勝負勉が帰ってきて、同じチームになるという。
運動が得意で、どちらかというと筋肉バカと見られがちな楓にとって賢そうでエリート然とした小勝負は苦手だ。

新しいチームの最初の案件は栃木県S市のホテル三社のウェディング業界価格カルテルだ。
秘密裡に調査を行い、ある程度探ってから「立ち入り検査」を行う。
楓は小勝負と組み「Sクラシカルホテル」を内偵していたが、そこに競合企業の「ホテル天沢S」を経営している天沢雲海がやってくる。
怪しく思った二人は雲海を付けるが、何者かに襲われた雲海を助けてしまい、内偵がバレてしまう。
雲海は一筋縄ではいかない、ずる賢い男のようだ。

いよいよ立ち入り検査が行われる。
ところが雲海は立ち入り検査を拒否、聴取では完黙を貫く。
公正取引委員会と雲海の戦いが始まる…。

一般人には身近ではない公正取引委員会を取り上げ、面白く味付けしてくれました。
公正取引委員会は「弱小官庁」としつこく書いてありますが、そうなの?
白熊・小勝負のコンビが最高です。
白熊はホント、ついていないわね。性格的に仕方ないか。
私の好みから言うと、白熊の男絡みのことはどうでもいいけどね、笑。
新川さんが次々と短時間で新しいキャラを創り上げていくのには驚きました。
これもシリーズにすれば、しばらくは安泰よね。
テレビドラマにもなるようだし。
などと思ったら、7月に『先祖探偵』という本を出すようです。
目指せ、中山七里。いいえ、池井戸潤かな?
デビューしてから飛ばしすぎではないかしら。ちょっと心配です。

公正取引委員会なんて何やら難しそうなことをしていそうと思うかもしれませんが、とっても読みやすいので、安心して手に取ってください。
すぐ読めちゃいますよ。


<今日のわんこ>


夏用のハウスに寝ている兄。なぜか頭が出ています、笑。
ハウスが小さすぎるのかしら?それとも…。